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EVFとE-M1markIIのレリーズモード

2019年2月10日

前回に引き続き、オリンパスE-M1markIIのEVFの見え方を動画で紹介する第2弾。前回はサーキットの被写体をEVFで追いかけるとどんな感じなのかを見ていただきました。

さすがに最新のEVFに比べて解像度の粗さはありますが、表示のコマ落ちみたいなことはなく使えることがご理解いただけたかなと思います。

今回は、実際にシャッターをレリーズした瞬間はどのように見えているのか、動画に撮ってありますのでご覧ください。

E-M1markIIのAFモードとレリーズモード

最初に、E-M1markIIのAFモードとレリーズモードについて紹介しておきます。

E-M1markIIのAFモードは3つ

モード 操作と動作※ 連写時の動作
S-AF
(シングルAF)
シャッターボタンを半押しすると、その都度1回だけAFターゲットにピント合わせ(フォーカス)する。ピントが合う(合焦する)とピッと音が鳴る。シャッターボタンを押し込むとそのピント状態でシャッターが切れる(レリーズする)。 連写モードの場合、そこからシャッターボタンを押し続けると同じピント状態でレリーズし続ける。
C-AF
(連続AF)
シャッターボタンを半押しするとAFターゲットにピント合わせを行い合焦するとピッと鳴る。その後、半押している間中はフォーカスし続ける。シャッターボタンを押し込むとその時のピント状態でレリーズする。 連写Lモードの場合、シャッターボタンを押し続けるとレリーズとレリーズの間もフォーカスし続ける。連写Hモードの場合、最初のピント状態から変わらずレリーズし続ける。
C-AF+TR
(追尾AF)
シャッターボタンを半押しするとAFターゲットにいる被写体にピント合わせを行い合唱するとピッと鳴る。その後、半押ししている間中は最初にフォーカスした被写体の移動に合わせてAFターゲットも移動しフォーカスし続ける。シャッターボタンを押し込むとその時のピント状態でレリーズする。 連写のときの動作はC-AFと同じ。

※デフォルトのボタン設定を前提とした説明です

前回でも使っていますが、今回もC-AF+TRを使ってサーキットを走行するマシンにフォーカスし続けながら撮影しました。

ミラーレスならではのレリーズモード

一般にカメラでは1枚ずつ撮影する単写や連写、セルフタイマー撮影なんかがありますが、モータースポーツ撮影に使えそうなモードは次のようなもの。

モード 操作と動作 E-M1makIIの仕様
単写 シャッターボタンを全押しすると1回だけシャッターが切れ(レリーズする)、その都度、メモリカードに記録する。 AFモードや絞り、シャッタースピードなどの制限なく、全ての条件で使用可能。
連写 シャッターボタンを全押ししている間に連続してレリーズする。レリーズの都度、バッファメモリを介してメモリカードに記録する。 連写Hでは15枚/秒で撮影可能だが、フォーカスや露出など撮影条件は最初の1枚目の条件が残り全てに適用されるためS-AFのみ使用可能。
連写Lでは10枚/秒で撮影可能。フォーカスや露出などの撮影条件はレリーズの都度適用されるのでC-AFが使用可能。
プロキャブチャー シャッターボタンを半押ししている間に連続して電子シャッターがレリーズし、バッファメモリに画像を記録する。さらに押し込むとその時点までにバッファメモリに溜まった画像をメモリカードに記録する。 プロキャブチャーHでは、60枚/秒で撮影可能だが、フォーカスや露出などの撮影条件は最初の1枚目の条件が残り全てに適用されるためS-AFのみ使用可能。
プロキャブチャーLでは、18枚/秒で撮影可能。フォーカスはレリーズの都度適用されるのでC-AFが使用可能。絞りや開放〜F8までに制限される。
いずれのモードでもシャッターボタン全押しの時点からさかのぼって最大14枚まで撮影可能(全押しの瞬間を含めて都合15枚)。
オリンパス製のマイクロフォーサーズレンズと一部フォーサーズで使用可能。

連写機能でHとLの違いに注意ですね。HではAFが追従なしでピンポイントに高速シャッターで撮ることを前提に使うことになります。LはAF追従するので流し撮りを前提に使います。

プロキャプチャーモード、特にプロキャプチャーLは、連写中にC-AFで被写体に追従しつつ、その様子をEVFで見続けることができるというもので、ミラーレスカメラならではのモード。

半押しでバッファリング、全押しでバッファからメモリカードに記録というのがミソで、シャッター切った瞬間から前に遡って撮影している感覚になるわけです。

今回は、連写Lに加えて、プロキャプチャーモードLでの連写も行いました。

C-AF+TRで撮影した時のEVFの見え方をチェック

舞台は前回と同じく、2018年9月のツインリンクもてぎで行われたスーパー耐久。もてぎのS字コーナーです。このコーナーを通過するマシンをC-AF+TRでフォーカスし続け、S字2個目のエイペックスに差し掛かったところからレリーズボタンを全押しして連写します。この様子を、EVFにiPhoneのカメラを押し当てて動画撮影しました。

撮影条件は、絞り、シャッタースピード、ISO感度以外にl、露出補正-1.0EV、ホワイトバランス「晴天」、階調「標準」、仕上がり「Flat」、彩度+1、コントラスト変更0、シャープネス変更0で統一しています。

現場の生音(レース実況放送、エキゾーストノートなど)もそのまま録音されていますので、再生の際には音量にご注意ください。

フォーサーズレンズを使った場合

まずは旧フォーサーズレンズであるオリンパスのZuiko Digita ED 50-200mm f.2.8-3.5 SWDを着けて撮影。レリーズ動作が入ることによるEVFの見え方の違いを見るために、前回と同じ焦点距離100mmとしています。

連写LではレクサスのマシンにAFが追従します。ただしフォーサーズレンズでは、マイクロフォーサーズレンズよりもAF動作に遅れがあるためか、連写速度も遅いように感じます(シャッタースピード1/125sと比較的スローシャッターなのも影響しているかも)。

連写動作に入ると、シャッターが切れる瞬間にまばたきのように暗くなります(ブラックアウト)。要はシャッターが切れて暗くなる様子をEVFで見ているわけで、これは一眼レフでも同様(厳密には、一眼レフではレリーズでミラーが上がってファインダーに像が届かないので暗くなっている)。

連写した画像は全部で7枚。サイズの関係で縦横1/3にリサイズしたものを張り合わせました(画像をクリックすると拡大します)。

f/9 1/125sec ISO-64 101mm

 

下は連写4枚目を4000×3000ピクセルでトリミングしたものです。EVFに押し当てたiPhoneの映像越しにレンズを振っての写真撮影ですから、被写体の動きにレンズの振りが追いついていませんが、C-AFが追従しているのは、以前にも紹介したとおりです。

f/9 1/125sec ISO-64 101mm

 

このように、フォーサーズレンズでもEVFの映像が遅延したり、コマ落ちするような様子は見られないことがわかりますね。

マイクロフォーサーズ専用レンズを使った場合

続けてオリンパスのマイクロフォーサーズ用レンズの上位モデル、M.Zuiko Digital ED 300mm F4.0(+テレコンMC-14)。こちらも同じように連写Lで撮影です。

 

300mmあるので画角一杯にマシンを捉えています。撮影中はアウディRS3 LMSのフロントグリルからターゲットを外していないことがわかります。

レンズが振り切れなかったために8枚連写したところで止めましたが、10枚/秒のスペックどおり動いてるようですね。また、ここでもEVFのブラックアウトを確認できますが、ブラックアウトによってまったくマシンを追い続けることができなくなるわけではありません。

先ほどと同じく、縦横1/4にして張り合わせた画像がこちら。後半はレンズが振れていませんが私の腕によるものです(汗)。

f/8 1/160sec ISO-64 420mm

 

連写2枚目を4000×3000ピクセルでトリミングしたのがこちら。同じくレンズの振りが追いついていないので被写体ブレしていますので、写りは参考までに。

f/8 1/160sec ISO-64 420mm

 

レンズが変わってもEVFの見え方と撮影結果に特に差は出ませんでしたね。フォーサーズレンズに比べて連写速度に余裕があり、C-AFによる追従もちゃんとできているようですから、連写してあとで一枚チョイスするような撮影スタイルでも使えます。

プロキャプチャーモードを使った場合

同じくM.ZuikoDigital ED 300mmF4.0でプロキャプチャーモードを使って撮影しました。連写モードも同じく連写Lです。

今回の撮影ではカメラの標準設定として使われるレリーズボタン半押しでAF開始します。そのため、マシンにフォーカスの追従が始まった瞬間からプロキャプチャーによるバッファリングが行われています。

このモードではシャッター音はなく、連写(バッファリング)が行われている間のブラックアウトはありません(原理的には、シャッターをずっと開いていて、センサーからのデータ読み出しをシャッタースピードと同じ間隔で行っている)。

ただし、ご覧のようにバッファリング中はコマ飛びしてぎこちないことがわかります。この点では、動く被写体を追いかけながら流し撮りのような撮影をするよりも、枝にとまった小鳥が飛び立つ瞬間を定点で撮影するような撮影に向いていると言えますね。もっとも、モータースポーツ撮影程度の流し撮りなら慣れ次第のところがあります。

なお、大量にバッファリングした画像を一気にメモリカードに記録するための処理が発生するためプロキャプチャー撮影後は画像確認までに時間がかかりますので、プロキャプチャー撮影後にもっとオイシイシャッターチャンスが来たら見逃すしかありません(汗)。

f/5.6 1/400sec ISO-64 420mm

 

プロキャプチャー撮影は、レリーズボタンを全押しした瞬間の1枚を含めた15枚が撮影可能。例えば、マシンがエイペックスに一番寄った瞬間を狙ってもレリーズがちょっと遅かった、みたいなシチュエーションで成功率を上げることができます。EVFに遅延を感じるようであれば、連写枚数を絞った設定でプロキャプチャー撮影をするというのもアリかもしれません。

f/5.6 1/400sec ISO-64 420mm

 

レリーズモードとEVFの見え方からベストな撮影を考えよう

今回わかったことをまとめると、

  • フォーサーズとマイクロフォーサーズでは、レンズの新旧違いでEVFの見え方には変わらないので、好きなレンズを使えばいい。
  • 連写撮影では、EVFのブラックアウトがあるが、これは従来の一眼レフ同様で、流し撮りの場合は慣れが必要。
  • プロキャプチャーモードは、EVFのブラックアウトが原理上なく流し撮り向きだが、連写中は映像がコマ落ちするので慣れが必要。

という感じですね。一眼レフから乗換えてE-M1markIIを使うのであれば流し撮りには支障ないレベルだと理解ください。

そもそも流し撮りをミラーレスから始める人は、ブラックアウト含め慣れが入りそうです。だけど逆にプロキャプチャーを工夫していいアイデアを生み出す可能性が高いかもしれませんね。


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