レッドブルエアレース その1.E-M1II Ver.2.1とサンヨンを使う(RedBull AirRace Chiba 2018)

  公開日/最終更新日 2020/03/29

43RacePhotosの今季最初の撮影記はレッドブルエアレースをお届けします。

すでに今年で4回目となった日本での開催。今年のレッドブルエアレース撮影は初めて2日間取り組むことができました。日曜日の本戦に対して土曜日はフリープラクティス(FP)と予選が行われるので、各選手のフライトの数は土曜日の方が多く、会場も空いている場合があるので、実は写真撮影にはむいていたりします。

今回は土曜日のFPと予選の撮影を紹介します。

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今回使用した機材

f/2.2 1/777sec ISO-25 4.15mm

Olympus OM-D E-M1markII + M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO +MC-14

サンヨン投入です。Instagramでは昨年の秋に報告していましたが、ブログでは今回が初めての紹介となりますね。

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時間の都合でエントリできなかったのですが、すでにWTCC、SuperGTなどの撮影で使っていて、その画質の高さに驚いています。これに×1.4のテレコンバータMC-14を合わせて35mm換算焦点距離は840mm相当になります。

M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROは、画質に比例してお値段もかなりのものなのはご存知の方も多いと思います。他メーカーのサンヨンと比較すれば(シンクロ手ぶれ補正などの最新技術が入っているとはいえ)やはり高いですね。

私はオリンパスのオンラインショップで購入しました。FotoPusプレミアム会員限定クーポンとせっせと貯めてきたFotoPusポイントを使って目一杯の割引率で購入しましたが、なによりも一番背中を押してくれたのは分割手数料無料のキャンペーンでした。

カメラレンズの場合、オークションやフリマアプリだったり(MC-14はヤフオクで購入しました)、中古カメラ専門店など充実してますが、オリンパスのサンヨンぐらいのレンズになると、そもそものタマ数が少なくてあまり出回らずに結果的に新品と大差ない価格だったりしますから、一番安く新品が買えるオリンパスのオンラインショップ一択かなと思っています。サンヨンはじめとするPROレンズの分割手数料無料のキャンペーンは頻繁に行われているので、FotoPus会員に登録しつつ、こまめにチェックすることをオススメします。

最新ファームでのパフォーマンスに注目

オリンパスのサポートサイトによると、E-M1markIIが3月8日付でバージョン2.1、M.ZD ED 300mm F4.0 IS PROが2月28日付でバージョン1.4となっているのが5月末時点の最新ファームウェアです。特に、E-M1markIIがバージョン2.0で流し撮りの使い勝手が良くなりそうな改善が行われています。抜粋すると、

  • AFターゲットモードにスモールターゲットを追加しました。
  • 電池残量表示を改善しました。
  • AEL/AFLボタンを親指AFに設定したときのレスポンスを改善しました。
  • 静止画撮影時のC-AFの性能を向上しました。

AFまわりの改善が期待できます。スモールターゲットは無印E-M1では使えていたので要望は多かったでしょうね。そしてC-AFの性能向上、完結な1文だけの紹介なのでどう改善されたかは使ってみるまでわからない、といったところでしょうか。今回はいずれも最新バージョンに更新して撮影にのぞんでいます。

43RacePhotosでは、E-M1markIIと純正マイクロフォーサーズレンズのPROレンズの組み合わせを紹介するのはこれが初めてですから、最新カメラと最新レンズの組み合わせがどれだけのパフォーマンスなのか、43RacePhotosで取り扱うスピードレンジでは最速の被写体を相手に検証してみます。

撮影ロケーション

今年のレッドブルエアレースもカメラマンエリアで撮影を行いました。正直、ここが撮影にベストなロケーションとは言い切れないのですが、室屋義秀選手の地元3連覇がかかったレースとなれば一般エリアが混雑して撮影どころではないでしょうから、それに伴う余計なトラブルを避けるための次善の策といったところ。

カメラマンエリアも人が多く、撮影ポイントは移動していませんが、サンヨンの焦点距離と解像力の高さをあてにして結構構図に変化は出たと思います。

FPと予選の様子をサンヨンで

土曜日の幕張は、やや薄曇りで快晴とまでは言えないものの、おかげで暑すぎずすごしやすい天候でした。ただしこれが撮影にはベストとはいえず、そもそも海に向かってレンズを向けるなか、背景は薄墨色で逆光気味という、相変わらず不利な撮影環境でした。

f/6.3 1/400sec ISO-64 420mm

前戦のカンヌ大会のウィナー、マット・ホール選手。

撮影開始直後、設定を間違ってデジタルレテコンをONにしたJpeg撮影だったので35mm換算焦点距離1640mmとなっていました。ここまで寄れると機体の汚し塗装がよくわかります。寄りすぎて全然ファインダーに機体をおさめられずアタフタしながら撮影した1枚です。

シャッタースピード1/400sにしていたのもあり、等倍で見ない限りはそれほど被写体ブレが気になりません。AF設定はC-AF+TR(追従感度設定は0)で、最初の被写体捕捉を5点グループターゲットで行いましたが、しっかりフォーカスしてくれていますしその後の追従も安定していました。

今年はレッドブルが日本でも商品バリエーションを増やす展開をしており、ホール選手の機体はそのカラーリングです。

f/10 1/250sec ISO-64 300mm

f/10 1/250sec ISO-64 300mm

レッドブルエアレースのシンボリックなカラーリングはカービー・チャンブリス選手。

撮影する中で少しずつエアレース機のスピードに慣れてきたのでC-AF+TRとC-AFを切り替えながら、グループターゲットとスモールターゲットを行ったり来たりしながら、AFまわりの設定を詰めていったところ、C-AF+TRをスモールターゲットで使う設定に落ち着きました。エアレースはサーキットのレースと違って画面奥行き方向の極端な加減速がないので被写体を画面におさえめることができれば、C-AF+TRでちゃんと被写体追従してくれます。

スモールターゲットは、画面上の小さな被写体(遠くの被写体)や被写体の詳細な一部分に対してノーマルのAF枠だと大きくて粗く感じる場合に使うところからはじめましたが、ノーマルのAF枠と大きな差が感じられません。C-AF+TRでは最初の捕捉に使われるだけなので、よりディテールをつめることができるスモールターゲットに固定しました。

1枚目は残念な逆光ではありますが、きっちりフォーカスしてくれているので、カラーリングのディティールも明瞭です。AFが信頼できると、あとはシャッタースピードを遅くして被写体の動きに合わせてレンズを振ることに集中できます。撮影開始早々にシャッタースピード1/250sまで落としました。

f/14 1/125sec ISO-64 300mm

こちらは今季チャレンジャークラスからマスタークラスへステップアップしたベン・マーフィー選手。元英国空軍エアロバティックのレッドアローズのリーダーだったそう。カラーリングもレッドアローズのそれ。

あいかわらず離れる被写体のAF追従性が良好で安心しました。ファームウェアのバージョンアップでそれまでよかったところはスポイルされず、確実に進化してくれている感じ。

エアゲートを水平に通過するのがルールなので、ゲートの前後は機体を激しくロールさせるのである程度スローシャッターを切れば主翼はブレて動きが得られます。これはエアレースらしい画になると思います。

f/8 1/200sec ISO-64 300mm

イケメン、ピート・マクロード選手のゴールシーン。カメラマンエリアからはスタート・ゴールゲートまでは焦点距離300mmでこの距離ですから、APS-Cやフルサイズのカメラでシケインやバーティカルターンの様子をこれ以上に大写しにしようすれば、ロクヨン(600mmF4.0)やハチゴロー(800mmF5.6)の大砲レンズは必須になりますね。その点、マイクロフォーサーズだとレンズ含むシステムでコンパクトに済みますが、一日中上を向いて撮影するエアレースのようなシチュエーションは、重量面で効いてきます。

f/10 1/160sec ISO-64 300mm

1/160sまでシャッタースピードを遅くしてみました。ちゃんとフォーカスした状態でまだディテールが見えていますね。黒い機体(+逆光)と何もない背景がAF的にも有利に効いていると思われます。

f/9 1/160sec ISO-64 300mm

f/10 1/160sec ISO-64 300mm

渋くてどちらかというと強面のオヤジたちが多いエアレースパイロットにあって(空軍パイロット経験者が多いのでどうしても年齢は高め)、ミカ・ブラジョーはエアロバティック(アクロバット飛行)選手上がりで若くてイケメンな選手。千葉でも女性ファンがいっぱいいましたね。

f/10 1/160sec ISO-64 300mm

f/9 1/160sec ISO-64 300mm

地元日本での3連覇がかかった室屋義秀選手。空気抵抗の低減によるトップスピードアップを狙った小型化した垂直尾翼「スモールテイル」を投入。「年間を通じた計画的なアップデート」は近年のモータースポーツでは陸空を問わず重要な位置付け。

シケイン、ハイGターンとエアゲートの近くをすり抜けるシチュエーションの2枚ですが、コントラストの高いエアゲートに惑わされずに最初に補足した被写体を追従してくれています。

室屋選手は2回トライできる最後のFPを1回で切り上げてしまいました。王者の余裕なのかと思っていたのですが…。

f/11 1/125sec ISO-64 300mm

さらにシャッタースピードを下げてマイケル・グーリアン選手を撮影。撮影時に横構図で撮ったものをトリミングで縦構図の画にしています。さすがに2400万画素になるとフォーサーズフォーマットでもトリミングによる構図の自由度があがります(トリミング耐性)。M.ZD ED 300mm F4.0 IS PROは、この画素数を確実に使い切れるだけの解像力のあるレンズでしょう。

グーリアン選手はこの後の予選で快調、みごと1位でした。今季は好調が続いています。

f/14 1/60sec ISO-64 300mm

調子に乗ってさらにシャッタースピードを下げてマット・ホール選手を撮影。航空機の撮影では、プロペラやローターの回転を意識する以外は、シャッタースピードを上げて被写体ブレを避けるのがセオリーでしょうが、レッドブルエアレースに関しては、エアゲートとの対比でスピード感を演出できるので積極的にスローシャッターでせめたいところ。

ホール選手はFPでは上位だったものの、予選は攻めすぎて12位で室屋選手とマッチアップすることに。

f/7.1 1/160sec ISO-64 420mm

ここからは予選の写真です。テレコンバータMC-14をつけてさらに寄せて撮影しています。

クリスチャン・ボルトン選手の機体カラーリングはベースのホワイトに大小の三角形が流れるように配置されたパターン。AFがしっかりフォーカスしてくれるおかげで、失敗作がでてもそれがピンボケではなく被写体ブレだと判断できるので、レンズの振り方などのウデにフィードバックできて結果的に流し撮りの成功率が上がっています。スローシャッターだとさらに効果的。

ボルトン選手は予選10番手でRound of 14ではピートマクロード選手とマッチアップ。

f/11 1/125sec ISO-200 420mm

ハイGターンをきめるピート・マクロード選手は予選5位。パイロンのブレが入ることで機体のディテールがより目立ちます。

MC-14が間にはいっても画質(解像力)の変化はほとんどなく、安心して焦点距離アップに使用できます。

f/10 1/160sec ISO-200 420mm

こちらのフランソワ・ルボット選手もハイGターンを決めた後の状態。手前を横切る形でパイロンの後ろを通ってもパイロンにAFが移ることなく追従してくれました(C-AF+TR)。AF追従感度は0〜−1の範囲で調整しながらの撮影ですが、プラス側に振らない限りは大きな変化は感じ取れませんでした。ルボット選手は予選13位。

f/20 1/160sec ISO-200 420mm

f/10 1/160sec ISO-200 420mm

ゴールゲート横の5ターン(シケイン)途中、左側にロールしている1枚目とハイGターン中の2枚目、いずれもファン・ベラルデ選手です。

こちらもよく解像してくれていてキャノピーからのぞくベラルデ選手の顔が見えます。予選は16:00からなのですでに夕焼け空になりつつある状態でキャノピーの反射が減ったものと思われます。

f/13 1/125sec ISO-200 420mm

カービー・チャンブリス選手は予選2位で今季好調を続けています。シケインをまさにロールして通過しているところですが、スローシャッターでパイロンがブレているのでスピード感が出ていると思います。

f/7.1 1/250sec ISO-200 420mm

f/9 1/250sec ISO-200 420mm

f/10 1/125sec ISO-200 420mm

室屋義秀選手は予選3位でRound of 14の相手はマット・ホールと、初戦から強敵をあいまみえることになりました。

3枚ともシケインまわりの様子を撮影していますが、特徴的なスモール・テイル、大型化したエア・インレットに加え、キャノピー内で「サムライ・スタイル」と言われる両手で操縦桿を握る室屋選手の姿が写っているのがわかります。

1/250sまでシャッタースピードを上げているのは、何となく「今ちゃんと撮っておいた方がいいかも…」という予感で日和ってブレが小さくなりそうなあたりまで上げちゃった結果です。残念ながらその予感はある程度当たったという…。

最新ファームとサンヨンの効果は?

E-M1markIIの最新ファームウェアとM.ZD ED 300mm F4.0 IS PROの評価をまとめます。

E-M1markII Ver.2.1(2.0)について

Ver2.0で注目した、スモールターゲットの追加とC-AFの性能向上について、つぎのように評価します。

  1. C-AFにおいて、エアレースのような画面奥行き方向の急速な加減速がない被写体に対して正確にフォーカスできる。
  2. C-AF+TRにおいて、画面内に被写体をおさめておけば、十分実用的な範囲で被写体追従できる。
  3. スモールターゲットはノーマルのAF枠と大きな差を感じることはなく(スモールだから性能が悪いということがない)、ノーマルのAF枠に替えて常用することができる。
  4. C-AFおよびC-AF+TRにおいて、追従感度設定によって(今回の場合は0〜−1)、被写体を横切る物体や近隣のコントラストの高い背景などにフォーカスがつられてしまうことはない
  5. 離れる被写体のAF追従性は今までと同様に良好。

C-AFの改善については、いいことだらけで何も悪いことがないという結果です。これに関しては「オリンパスがんばったな!」と賛辞を送りたいと思います。

もちろん、今回はサンヨンというオリンパス純正のしかも最上級レンズとの組み合わせということもありますし、これでようやキヤノンやニコンの一眼レフ中級機に迫ってこれたか?というレベルだと思いますが、ミラーレスじゃモタスポ流し撮りはできない、というのは全くあたらないところまできました。

そして、ここまでしっかりAFできるようになると、「この失敗はピンボケかな?手ブレかな?」といった流し撮りをしているとしばしば感じる悩みがなくなり、結果的に上達につながるのではと思います。まさに今の私がそんな感じで、今回は歩留まりが上がりました。

M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROについて

サンヨンについては、すでにいろんなところで評価されていますが、あらためて感じたところをまとめると、

  1. 35mm換算600mm、MC-14を合わせれば840mm相当の焦点距離はやっぱりモタスポ撮影で重宝する。
  2. 解像力が圧倒的。もちろんMC-14がはいっても画質の変化はほとんどない。
  3. 換算600mmと圧倒的な解像力からすれば十分コンパクト。一日中構えていられる。

マイクロフォーサーズ、とりわけオリンパスは、センサーサイズの小ささからくるボケ味の足りなさをカバーするようなレンズ開発を中心にすすめるきらいがあったと思いますが、簡単に焦点距離が稼げるシステムであるということでもあり、被写体との距離の制約が厳しいモタスポ撮影にはむしろ有利なシステムだと言えます。

その点では待ちに待ったレンズですから、残された課題は価格だけでしょうね。今後サンヨンの下位互換的なスペックの望遠レンズ、できれば使い勝手のいいズームレンズなんかが出てくれると嬉しいのですが…。

あと、上では書いていませんが、サンヨンの圧倒的画質を支える「5軸シンクロ手ブレ補正」について、補正能力が強力すぎる一方で流し撮りモードがない(正確にはIS-AUTOの流し撮り検出がシビア)ために使いこなせず、OFFにしています。これはもったいないことなのでなんとか使いこなしたいのですが…。

次回はレッドブルエアレースの日曜日決勝の様子をご紹介します。


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