7月のSuperGT第4戦 SUGO GT 300kmレースの撮影記その2です。
前回に引き続き、SPコーナーを中心にGT300を撮影しましたので撮影のポイントを紹介していきます。
同じコーナーでも撮り方を工夫すれば、いろんな写真が撮れますよ。
機材と撮影ロケーションは同じ
当然ですが、GT500とGT300で機材を変えることはありません。撮影した場所も同じ。
ただ今回はグランドスタンドで撮った予選の写真がありますので、これだけはサブの無印E-M1とタムロン14-150mmです。あとはE-M1IIとZD50-200mmです。
シャッタースピードと焦点距離でバリエーションを
この写真だけ予選から。
予選は家族とグランドスタンドで観戦していて、50-200mmを出す余裕がなかったので無印E-M1につけたタムロンの14-150mmで撮影。
おもしろい構図が思い浮かばなかったのでスローシャッターで背景のゴチャゴチャは流し、金網やピットウォールの直線が平行にならんでスピード感が出ました。
ただし、肝心のマシンはブレていてなんとかブレの芯は残っているかなという感じです。予選当日の速報的にInstagramにアップしたらGTカメラ部さんにリポストされけっこう人気だったので、こういうのもアリなんだなと。
前回のGT500編と同じアングルでGT300を撮影。BRZは最新のGTマシンらしいルックスで好きなんですが、GT-RやRC-Fのボリューム感のあるスタイルも迫力があってカッコいい。そんなJAF-GTとFIA-GTが競っているシーンは今のGT300を象徴しているように感じます。
ここのコーナリングスピードだと1/125sくらいでBRZの後ろのマシンが判別できつつ、一定のブレが残ってBRZに注目がいくのでアリかなと思います。もうちょっと(1/80s以上)スローでもいいかも。
初音ミクAMG GT3とマネパ ウラカン。SP2個目の飛び込みを横構図で撮影しています。
SP2個目にマシンがアプローチするシーンは前回も紹介していますが、縦構図と横構図で印象が変わると思います。この写真では、この2台だけのバトルで接近戦だったので横構図にして並べることで接近戦の雰囲気が伝わればと思って撮影しています。
結果はスローシャッターでウラカンがブレすぎて初音ミクの速さが強調されすぎたかなという感じです。初音ミクの動きの芯もFグリル/エンブレムではなくFウインドウにきていてちょっと失敗気味です。
前回のGT500と合わせてこのアングルが多いですが、シャッタースピードはそれぞれで違いますから、背景の流れ具合、メインの被写体のブレの軸に注目、比較していただくと参考になるのではないでしょうか。
1/30sよりもスローシャッターに挑戦していますが、このコーナーでは、1/30sが限界でした。しっかりとマークXのエンブレムにピント(ブレの芯)がきていて、マシン正面以外はほぼ流れている(ブレている)のが気に入っています。MCに4ドアセダンの組み合わせでメタリックグリーンのカラーリングがカッコいいですよね。
こちらのタイサン サードのR8も前回のGT500編でGT-Rを同じアングルで撮っていますが、こちらの方がスローシャッターです。
マシン正面をしっかり止めながら、アスファルトと縁石を流してスピード感を多少だしています。写真的にはこちらの方が上手く撮れたんじゃないでしょうか。
特徴的なマットグレーの一ツ山レーシングのR8と背後のシルバーのSRoad GT-R、そして背景はアスファルトだけと無彩色的な中にカラーリングのレッドとヘッドライトのイエロー&ホワイトが浮かぶ様子は偶然に撮れました。
荒天で暗い状況ながら、E-M1IIのダイナミックレンジであればマシンと路面のグレーはちゃんとコントラストがでて決して地味な画にはなっていないと思います。
タイから参戦のARTO86MC。GT500のGT-Rにインを譲った瞬間に2台のフォルムが重なったわけですが、クーペスタイルに丸テールランプが結構似てるように見えますね。
低速コーナーからの立ち上がりなので1/125sではさほど流れないのがGT-Rをみればわかりますが86MCが斜めに逃げていたらしく、ブレの芯はリアビューにしかありません。
ARTAのM6は、冒頭のBRZと同じ撮影条件ですがトリミングを変えて相対的に寄った構図としています。
理由は単純で、この3台以外にいなかったので余分な背景を切っただけです。だけどM6にピントもブレの芯も整っているので無理な拡大にはなっていないと思います。
E-M1markIIになって2000万画素のセンサーを手に入れたわけですが、これは何世代か前のフルサイズ一眼レフのセンサーに相当するわけです。当時フルサイズのメリットとして言われていた「トリミング耐性」(高解像度のデータを得られるので広角気味に撮影してあとでトリミングで構図をやりくりできる、という意味で理解しています)を、しばしば「豆粒センサー」とも呼ばれるフォーサーズでも得られているということだと思っています。
SP2個目に向かうShopChannelウラカンのバックショット。1/125sでブレてるのは相変わらず至らない私の腕のせいですが、センターのランボルギーニのロゴなんかを見るとAFがちゃんとできているのがわかります。
AF-Cモードの1点フォーカスポイントでまさにランボルギーニロゴを狙っていたのですが、ネットのクチコミでも言われているように、E-M1markIIのAF-Cは、離れていく被写体の追従性がいいみたいです。比較対象が従来のOM-DシリーズやE-3/5ではありますが。
こちらのVivacMC86も、ARTA M6と同じくトリミングしたもの。オリジナルはこの周囲ひとまわりはアスファルトの背景です。
フロントのトヨタエンブレムから向かって右側にピントがきていて、ブレの芯はコーナリングの軸になる左フロントタイヤ(あるいはキングピン)あたりになっているかと思います。
もっとスローシャッターの方が面白かったかもしれませんし、逆にこの構図なら背景も単純でタイヤも写らないので高速シャッターでキッチリ撮った方がよかったかもしれませんね。
というわけで最初から狙って1/400sで撮ったLM CORSA RC-F。
この構図でもっと水量があれば水しぶきが上がってカッコいいシーンも想像できますが、水しぶきが上がったら上がったらでAFがちゃんとしてくれなさそうな気がします。今シーズンはまだフルウェットのコンディションで撮影していないので、その点はレビューしたいですね。
このGAINER AMGの水煙っぽくボヤけているのは実は金網です。SP1個目の10m手前/アウト側からSP1個目を抜けたマシンを金網越しに撮影しました。イン側に水が残っていてウェットらしいシーンになりました。
この写真でもリアを狙ってAFしていて、しっかり追従してくれています。こうなるともっとスローシャッターで背景のゴチャゴチャを整理したいところですが、腕前の限界です(汗)
EVA AMGはSP2個目のコーナリング。スローシャッターでスリーポインテッドスターにきっちりピントがあってカッコよく撮れました。こういうのは満足度が高いですね。
SPスタンドの一番上の外、通路から覗き込むようなポジションからの撮影なので焦点距離400mm(テレコン含む)で画面にある程度の余裕を持たせた構図をとっています。
Wズームキットなんかに付いてくる150mm程度のレンズならデジタルテレコンと併用で300mm相当になりますから、似た構図は誰でも簡単にできそうです。これとMF置きピンでスローシャッターが決まれば、レンズの良し悪しによらずにいい写真が撮れそうです。
こちらも焦点距離400mmです。SP1個目から2個目の短いストレートにマシンが詰めた状態を2個目アウト側から撮影しました。
フォーサーズ/マイクロフォーサーズはフルサイズやAPS-Cセンサーのカメラに比べて被写界深度が深い(ボケ味が小さい)こともあり、望遠による圧縮効果(画面の奥行方向の距離感が詰まる)が強調されてテール・ツー・ノーズのバトルの緊張感が出てきます。
まぁ、この写真のシチュエーションは実際にマシン同士の距離がかなり近いんですけど(笑)
SP2個目を立ち上がるGAINER AMGをアップで。フロントグリルにピント、ブレの芯が揃っていてディテールまでカッチリで、それ以外の部分は背景の縁石含めて流れていてアップでもスピード感が演出できていると思います。
こうやって上手く撮れているのをみていると、AMG GT3のようなグリルの大きくてハッキリしたマシンは撮りやすいのかもしれませんね。これはカメラのAF性能うんぬんではなくて、おそらくはハッキリした目標がある方がファインダーで追いやすいからで、撮り手の問題でしょう。撮りやすいと感じる被写体を選ぶのもコツかと。
いかがでしたか?前回GT500、今回GT300に分けて、SPコーナーまわりを中心にいろいろな撮り方をしてみました。
1つのコーナー(SPは複合コーナーなので2つとも言えますが)でも、焦点距離やシャッタースピード、マシンの数やスピード/進行方向などからくる構図に工夫することで撮れる写真のバリエーションが広がることがわかりました。
SPコーナースタンドはSUGOの中でもマシンに近く人気の観戦ポイントです。比較的短い焦点距離の望遠レンズでもカッコいい写真が撮れるチャンスがありますので、観戦のついでにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。