2018年シーズンもいよいよスタートといったタイミングですが、43racephotosは本職が多忙だったため、すっかりサボっておりました。いまさらになって昨年のSuperGT第5戦 Fuji GT 300kmレースの写真がようやく整理できたところです。
前回のSUGOに引き続きSuperGTネタ、しかも富士スピードウェイといえば関東在住のモータースポーツファンにとっては最も近場のサーキットだけに撮影ポイントや構図はもはや出尽くされた感もありますが、2018年シーズンのSuperGTも富士スピードウェイは5月と8月の2回開催予定ですから、ミラーレス/マイクロフォーサーズだとどこでどんな写真が撮れるか、参考にしていただけると思います。もちろん、どの写真も自由席観戦エリアから撮影できますよ。
2017 GT真夏の3連戦
例年、夏休み時期に合わせて開催されるのが、第4戦のSUGO、第5戦富士、第6戦鈴鹿と続く“GT真夏の3連戦”でした(2018年シーズンは8月の鈴鹿10時間耐久レース開催にともなってこの流れが変わることになります)。今回は家族でSUGOを観戦したあと、妻と息子が別件で不在となり、富士は完全にフリーで動けることに。ラッキー。
1人撮影の旅のいいところは、食事や宿泊を好きな時に好きな場所にできること!予選日の未明から富士へ移動してサーキット内で車中泊すれば、連戦にかさみがちな経費も多少は楽になりますね。
使用機材について
基本的な機材に変更なし
前戦SUGOに引き続き、カメラバッグの中身は遠征仕様ですが、スナップを撮る必要のない単独行ですから、タムロン14-150mmは今回お休みです。
メイン:Olympus OM-D E-M1markII + ZuikoDigital 50-200mm F2.8-3.5 SWD + Teleconverter EC-20
サブ:Olympus OM-D E-M1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6
(反省)予備バッテリーは多ければ多いほうがいい
久しぶりにじっくり撮影時間がとれたレースだっただけに見込みが甘かったのが予備バッテリー。
E-M1IIでのレース撮影では、本体に1本とバッテリーグリップ(縦グリ)に1本入れ、さらにバッグに予備一本の合計3本。これで土日に300〜500カット程度の撮影をしています。さらに、撮影後は残りの電力を使って、現場で液晶パネルやEVFで写真を確認しながらOK /NGカットの選別と削除作業をしていますが、それでもまだ余裕があって予備には手を付けずにすんでいました。
そんな事情もあって充電器は持って行かず(車中泊だと充電のためだけにエンジンかけるのもどうかなぁというのもありました)、バッテリー3本で乗り込んだのですが、今回は土曜終了時点ですでに200カットを超えるほどの撮影で、装備した一本半弱を消費してしまいました。こうなると普段は練習がてらサポートレースの撮影もするのですが、あきらめてGT決勝に温存することになりました。
初めてのサーキットや慣れないカテゴリーなどでは、余裕をもったバッテリー本数か、急速充電できる装備があったほうがいいなと痛感しました。E-M1IIのバッテリーはけっこうなお値段なのでついケチってしまいがちですが、流し撮りは練習量こそがキモだと心得て、セールやFotoPusポイントを活用して本数確保しておきたいですね。
安い互換バッテリーも出ていますが、今のところ、互換バッテリーでは残容量の確認ができないものがほとんどのようです。シャッターチャンスを逃さないようにするには、残容量を把握して早めに交換しておきたいところですから、純正バッテリーが欲しいところですね。
やっぱり純正は高いです。
「BLH-1」で検索すると互換バッテリーもでてきて純正との価格差に驚きます。電力を供給するという意味では純正と同等以上の容量があって、普通に使えるというレビューも増えてきました。おまけについてくるUSB給電式の充電器も魅力的ですが。
富士スピードウェイは撮影ポイント充実
今回は土曜の朝一番のフリー走行から日曜の決勝ゴールまでじっくり取り組むことができました。撮影ポイントはこんな感じ。マップ上のサムネイルをクリックすれば拡大して写真をご覧いただけます。
特別なパスの必要のない、一般的な自由席観戦券で見ることができるポイントになっています。もてぎよりも大きいサーキットを土日で何巡かしましたから結構歩きました。富士スピードウェイは、金網が二重だったり、スタンドからコースまでの距離があったりなど、写真撮影には不利という方もいますが、歩き回ればそれなりに撮れるポイントがみつかるものです。
とはいえ、ミラーレス/マイクロフォーサーズのカメラであっても、オススメのポイントは他のカメラシステムとさほど変わりません。定番は、コカコーラコーナー、アドバンコーナー、ダンロップコーナー、レクサスコーナーでしょう。
GT500写真17枚+α
今回はGT500からチョイスしました。掲載の時系列は順不同、画像キャプション部分にカメラの撮影条件を記載しています。撮影条件はあくまで前述したE-M1markIIを使用した場合のもので、フォーサーズ/マイクロフォーサーズ規格のカメラシステムで互換性があると考えてください。
土曜朝のフリー走行からレクサスコーナーのアウト側の土手の上から立ち上がりを何枚も条件を変えて撮影してきました。朝イチから少しずつシャッタースピードを落としていってマシンのスピードに慣れたところで1/60sで撮ったDENSO SARD LC500。縁石凸凹や路面の汚れなどがゴチャゴチャしてますね。もう少しスローシャッターがいいかも。
同じ条件で今度はau Tom's LC500。アウト側の縁石を避けてフレーミング。縁石の代わりにアスファルトのブラックマークが動きを演出してくれています。
同じ条件で、無限NSXを横構図で撮影しました。アウト側めいいっぱいまでは使わないライン取りだったため、アウト側の縁石は画面から出してスッキリ。無限カラーと背景の縁石、路面の色が揃って見た目が整いました。マシンを画面対角線上に配置して動きをプラス。
これもレクサスコーナーで撮影したこのRAYBRIG NSX。1/20sまでスローシャッターにしています。低速コーナーだとまだ背景の縁石がゴチャついてますね。被写体をもっと止めることができればもっとスッキリみえたかも。
このように、同じ撮影ポイントでも、構図やシャッタースピードのわずかな違いで写真の印象が変わります。撮影時間(=走行時間)に余裕がある場合は、いろいろ条件変えてチャレンジしてみるのがいいでしょう。
今度は場所と時間を変えながら。これは決勝レース、アドバンコーナーに飛び込むGTR。こちらもアウト側の土手から今度はしっかり止めて撮影。GTRはバックショットが気に入っています。丸いテールランプが黒い背景に浮かぶ感じで。
決勝レースのダンロップコーナーを旋回中のCALSONIC GTRを向かい合う位置から高速シャッターで撮影したあと、画面いっぱいにトリミング。ドライバーの安田選手のヘルメットがウインドシールド越しに見えますが、かなりセンター寄りに座っているのがわかります。
予選アタック中のアドバンコーナーを立ち上がるTEAM LEMANS LC500。1/30sのスローシャッターで作るブレと、路面のブラックマークで弧を描いてコーナーを旋回するスピード感を出すことができました。以前も書きましたが、E-M1IIは離れる被写体へのAF-C追従性が優れていますね。こういうのが撮りやすい。
決勝レース中アドバンコーナーをターンするS Road GTRをアドバンコーナースタンドの一番上段から撮影。おそらく100km/h前後のコーナリングでしょうけど、1/160sでホイールが回転している動感を得つつマシンは止めて撮れています。背景が真っ黒なアスファルトや真っ青な青空では、スローシャッターの効果が薄くなるので使わないのがセオリーですが、アスファルトにレコードラインができていて黒でも濃淡があったりすると、そのブレが動きになってくれる場合があります。
フリー走行のダンロップコーナー2個目のエイペックスを立ち上がってくるEPSON NSXを向かい合う位置からスローシャッターで。フリー走行はレクサスコーナーから逆行しながら撮っていましたから、マシンのスピードに慣れてスローシャッターを試しはじめた途中の一枚です。縦構図で撮影したものですがトリミングして横に戻しています。ちょっと窮屈な構図だったかな。
ダンロップコーナー立ち上がりのKeeper Tom's LC500。こちらもフリー走行から。グリルにピントを合わせてスローシャッターでスピード感が出ていると思います。
同じダンロップコーナーですが、こちらは決勝レース終盤のS Road GTR。GTRはいつもポンポンとアフターファイアを出してくれるので待ち構えるものの、シャッターを切るタイミングが合ったためしがありません。この1枚も中途半端なシャッタースピードでブレが目立ちますが、トリミングで奇をてらった構図にしてごまかした感じにしてでも残したいくらい。
こちらはダンロップコーナー1個目から2個目へのアプローチ中のEPSON NSX。ここも低速ですがさきほどのGTRと違って加減速がなく、一方向にしか動いていないので1/60sでもフロントはブレなしです。
決勝レーススタート直後のTGRコーナーを抜けてコカコーラーコーナーへアプローチするGT500の集団。定番中の定番スポットなのでありきたりといえばありきたりな構図。高速シャッターで止めて撮ろうとしていますが、この時は曇りで絞り開放でも暗くてISO感度は許容限界のISO1600で、それでも暗くて1/250sになっています。フォーサーズだと、この条件で背景のアウディ看板はそれほどボケず、後方のマシンはわずかなボケとブレで写っています。
ダンロップコーナーを抜けて13コーナーへ立ち上がっていく予選アタック中のKeeper Tom's LC500。そもそも登り坂ですが斜め構図で駆け上がっていく感じが演出できたと思います。縁石やグリーンエリアがゴチャついてますが、マシンを止めて背景だけ流せているのでマシンに視線を誘導できていると思います。
決勝レース中盤以降ずっと競り合ったMOTUL AUTECH GTRとZENT CERUMO LC500。ダンロップコーナーで2台が最接近する。富士だとダンロップが一番マシンに近づけるコーナーなので、フォーサーズなら画面一杯に捉えることもできます。高速シャッターで連写するだけで迫力あるシーンが狙えるのはイイですね。
決勝レース中盤の13コーナーでTom'sの2台を。これが撮れるのは、13コーナーからレクサスコーナーのイン側にあって最終コーナーまで望める土手状の観戦エリアですが、金網が二重になっている場所が多いために土手の一番上以外は撮影にあまり向いていませんが、13コーナー出口側のコーナーポスト付近は二重ではないので金網に寄って撮っています。もうちょっと37号車が左だったらベストな構図だったかも?
300Rを抜けてダンロップコーナーへ向かうADVAN GTR。これだけOlympus M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6です。微妙な曇天もあって露出が難しいですが、ダンロップ看板の真下を通過する瞬間を撮れたので気に入っています。9-18mm F4.0-5.6は決して解像力が高いレンズではないと思いますが、広角スローシャッターが決まればなかなか面白い画が撮れます。
土日ともにお昼にはエアレースの室屋選手によるデモフライトがありました。母国開催で優勝した後だったので盛り上がりましたね。エアレースの実戦よりも低空飛行で迫力がありました。コントロールタワーとほぼ同じ高さ!
今回はGT500マシンをご覧いただきました。レクサスコーナーでの写真がちょっと多いですが、構図やシャッタースピードの違いで写真の雰囲気が変わるというところを見ていただけたのではないでしょうか。
次回GT300編に続きます。