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OM SYSTEM OM-1 モータースポーツ撮影レビュー(1)新スペック活用編

2024年7月1日

OM SYSTEM OM-1 Circuit Review モータースポーツ撮影 徹底解説(1)新スペック活躍編

OMデジタルソリューションズからOM SYSTEMブランド初のフラッグシップとして2022年に発売されたOM-1。すでに後継のOM-1 MarkⅡが2024年に発売され、「2周遅れ」ではありますが、2022年3月の発売開始に購入し、モータースポーツ撮影で使ってきた結果を数回に分けてお伝えします。今回は、オリンパス時代のフラッグシップモデル(E-M1X/E-M1 MarkⅢ)からOM-1で更新されたスペックについておさらいし、モータースポーツ撮影ではどのように使っているかを紹介します。

従来機との比較からみるOM-1の特徴

オリンパスE-M1系からの基幹部品が刷新

今さらではありますが、先代にあたるE-M1X/E-M1MarkⅢからのスペックの変化について、モータースポーツ撮影に影響しそうな点をチェックしておきます。

E-M1X/E-M1MarkⅢからOM-1への変化点

  • 撮像センサーが、4/3型 Live MOS から 4/3型 裏面照射積層型 Live MOS に刷新(有効画素数は約2037万画素のまま)
  • 手ぶれ補正効果が、レンズシンクロ時の7.5段 から 8段 に進化(ボディ本体は7段のまま)
  • EVFが、約236万ドット液晶ビューファインダー から 約576万ドットOLEDビューファインダー に進化
  • AF検出輝度範囲が、EV-3.5~20 から EV-5.5~19 に変更
  • AF測距点が、121点 から 1,053点 に進化
  • 感度が、ISO64-25600 から ISO80-102400 に変更
  • 静音連写(電子シャッター、各コマ毎ピント&露出追従)が、約18コマ/秒×76コマ(RAW) から 約20コマ/秒×143コマ(RAW) に進化
  • 画像エンジンが、ダブルTruePicⅧ(E-M1X)→ TruePicⅨ(E-M1MarkⅢ)→ TruePicⅩ に進化

メーカー各社のミラーレスへの移行がフラッグシップ級モデルの登場によって完了しつつある現在では、すでにミラーレスの経験豊かなOMDS/オリンパスとしては正常進化とみるのが適切でしょう。しかし、発売直後から頻出したEVFのトラブルや、いまいち思い通りにならないAFなど、このハイスペックを活かし切るために2年にわたり数回のファームウェアバージョンアップを要していることは、OMDSが新しいカメラメーカーとしてまだ発展途上にあることも意味しているといえるでしょう。

バッテリー&充電システムの変更は結構イタい

スペックの更新に関連してバッテリーが変更されました。E-M1MarkⅡからずっと使われ続けてきたBLH−1からBLX−1になり、容量アップ(1,720mAh→2,280mAh)と形状の変更がされました(カメラ本体に1本が付属)。充電はカメラ本体に収めた状態でUSB-CケーブルとACアダプター(USB-C接続の汎用ACアダプターF-7ACが付属)で行う方式に変更となり、充電器は2本同時充電できるBCX-1が別売となりました。

私がモータースポーツ撮影で使ってきた経験では、E-M1MarkⅡやE-M1Xで決勝レースのイベント全てを撮影してBLH-1を2本は空にしていました(メカシャッター使用で1,000〜1,500枚程度撮影)。OM-1でBLX-1に変わってからは、本体付属の1本とバッテリーグリップに納める1本の合わせて2本の運用は変わりませんが、電子シャッター(静音撮影)に移行したのもあり1本分程度で済んでいます。

どこのカメラメーカーも純正バッテリーは高いものですが、やはり予備1本と2本同時充電できるBCX-1があると、車中泊やテント泊などで充電環境の自由度があまりない条件でも安心です。また、互換バッテリーと充電器も出回りだしていますから、今後は互換品の運用も視野に入れたいところです。有名どころだとLOWAが比較的安心して使えそうです。互換充電器にも2本同時、USB-C接続なものがあるので、使い勝手は良くなってきたといえるでしょう。

リチウムイオン充電池「BLX-1」専用の充電器で2個同時に充電可能

容量2,280mAhの大容量リチウムイオン充電池

LOWAの最新の互換バッテリーなんかは、バッテリー自体にUSB-C端子が付いていて、USB/ACアダプタから直接ケーブルを差し込んで充電できるというなかなかせめた仕様のものもあります。

ちなみに、液晶プロテクターOM-1用も国内メーカー品で複数発売されていますね。

コンパクトなボディにホールド性のよいグリップ、AF-ONボタン初登場

ボディデザインも振り返っておきます。これまでのE-M1系とボディのサイズを比べると表のようになります。

モデル 高さ 厚み
E-M1MarkⅢ 134.1mm 90.8mm 68.9mm
E-M1X 144.4mm 146.8mm 75.4mm
OM-1 134.8mm 91.6mm 72.7mm

OM-1は、E-M1MarkⅢとほぼ同じ程度の大きさながら、厚みについてはE-M1Xに近いですが、これは、E-M1Xで評価の高かったグリップデザインを踏襲してOM-1のサイズに最適化したことによるものだとわかります。

私の手は一般男性の平均的な大きさだと思いますが、手のひらが少し狭く、その分だけ指が細長いです。E-M1Xでは、小指が縦グリ部分にはかからず中指・薬指・小指で深く握ると一番長い中指の爪先がボディに触れる程度の深いグリップです。OM-1でもバッテリーグリップをつけた状態で同じように握ることができ、ホールド性はとてもいいです。

上がOM-1、下がE-M1X。厚みと幅で結構異なり、重量としてその差があらわれる。

OM-1とE-M1Xを並べてみるとたしかにサイズの違いがありますが、グリップの最適化によって、扱いやすさはE-M1Xに近いです。このグリップ形状の変更にともなって、前後ダイヤルもE-M1Xと同様にグリップに埋め込まれたデザインに変更になっています。

あと、これはこだわる人にとってはとても重要な点だと思いますが、額(いわゆるペンタ部)のOLYMPUSロゴはOM-1が最後となりました。オリンパスを使ってきた者としてはこれが最後というのがとても残念です。

背面のボタンレイアウトでは、新たにAF-ONボタンがつきました。E-M1MarkⅡからずっとAEL/AFLボタンを割り当てて「親指AF」としていましたが、若干親指を伸ばさないと押しにくいレイアウトでしたから、専用のAF-ONボタンはレイアウトに無理がなく押しやすいです。AF-ONボタンはバッテリーグリップにも用意されています。

AF-ONにかぎらず、特に右手まわりのボタン類はレイアウトが吟味されていて押しやすく、ファインダーをのぞきながら操作しても押し間違えをしにくいレイアウトです。これらのボタンの多くで、機能の割り当てをカスタマイズできるのですが、使い込んでいくと、このボタンカスタマイズがOM-1を使う一番のメリットかもしれません。

モータースポーツ撮影のために重要な、EVF、AF、連写

EVFは綺麗になってもフレームレートの方が大事

ミラーレスカメラで撮像センサーと同じくらい重要なのがファインダー/EVFです。特にモータースポーツ撮影では、高速で移動する被写体と向き合って、その動きを正確にトレースするために、表示遅れの少ない、フレームレート(リフレッシュレート)の高いファインダーが必要です。

フレームレートに関して、公式には具体的な数字が出されておらず、設定として「標準」と「高速」があるだけですが、従来機種の公式発表や過去のレビュー、発表前のリーク情報などから、OM-1では「高速」では最高120fps、「標準」は60fpsだと思われます。私の場合はファインダーをのぞいているだけでは両者の違いは感じれませんが、撮影してみると「標準」で撮影した写真に被写体ぶれがわずかに多いことがあるので、感覚の鋭い方なら実感できる違いかもしれません。

このフレームレート「高速」ですが、その表示のスムーズさに反してなかなかの厄介もので、OM-1発売当初は「高速」の使用時にEVFがフリーズするトラブルがありました(ファームウェアバージョンアップで解決)。

2年経った現在でも解決していない事象もあります。雨や曇り、夕方や夜などの暗い状況だったり、暗いレンズやNDフィルターなどの光が入りにくい条件で、C-AFを使用する場合、EVFのフレームレートが安定せず、被写体を追うのが難しくなります(極端な場合だとパラパラマンガのように感じることもある)。特にフレームレート「高速」で使用していると不安定さを感じがちで、レリーズタイミングがずれたりします。

Fグリルを狙ったが、EVFのラグによって被写体ぶれの芯がコックピットにずれた例。f/22 1/30sec ISO-80 400mm

この事象は海外でも話題になったことがありますが、「かなり限られた」条件での事象としてあまり問題とされていないようです。私の場合、超望遠レンズにNDフィルターをつけてスローシャッターでの流し撮りを狙ったり、それを夕方や雨天で撮ろうとすることもあるため頻出する事象です。

一部のユーザーが、EVF高解像度化やAF検出点アップなどのスペックアップに画像処理エンジン(TruePicX)が追いついていないからではないか?とみているようですが、私も同じ意見です。この場合の解決法は、フレームレート「標準」に戻して使用する(「高速」だとフレームレートの落ちが激しくなる状況でも安定して撮影できる)か、AFを使わずにあらかじめ狙ったポイントにマニュアルフォーカスで合わせておいて(いわゆる置きピン)、EVFのフレームレートが落ちないようにして撮影するかの二択になります。

水平方向のみにレンズを降るような比較的単純な流し撮りの場合は、MF置きピンにしてEVFのラグを回避する方法も。 f/13 1/15sec ISO-200 355mm

マニュアルフォーカスという点では、約576万ドットOLEDになり、ピント合わせが楽になりました。また、晴れた屋外では、背面の液晶ディスプレイで撮影した写真の確認が難しい場合があり、撮影姿勢ままファインダーで確認できるのもEVFのメリットですが、高解像度化で写真の出来栄えが確認しやすくなりました。

被写体認識はよくできているものの、EVF、AFとの連携に改善の余地あり

ここ数年で一気に各社の最新ミラーレス機に採用されるようになった、ディープラーニング技術による被写体認識AFですが、一番最初に採用したのは、オリンパスのE-M1Xでした。膨大な計算処理を行うためにE-M1XではTruePicⅧを2個搭載して実現された技術が、OM-1ではTruePicⅩ1個でまかなえるようになりました。

OM-1のAI被写体認識AF(OM-1では「被写体検出」と表記)では、画面内の被写体を検出するとその被写体の特徴的な部分に四角い白枠を表示します。「AFスタートすると、検出した白枠が緑になってその大きさのままAFターゲットに変化します。さらにAFが進むと通常サイズのAFターゲットに縮小して特徴点にフォーカスしていきます。

「特徴的な部分」とは、検出する被写体によって異なりますが、「モータースポーツ」の設定では…

フォーミュラカーやバイクなどのヘルメットが見える被写体→ヘルメット
ツーリングカーなどのいわゆるハコ車→フロントグリル

を指します。どちらも、モータースポーツ写真ではピントがあっているとよいとされる部分です。

被写体を検出し始めるには、画面の中である程度の大きさになるまで寄ってくる必要がありますから、広角レンズで引きの構図などでは使いにくい場合がありますが、そういった時はおおよその構図が決まっていることがほとんどだと思いますので、AFターゲットの位置を決めたり、MFでフォーカスを決めて撮るなどで対応できます。

この動画はファームウェアVer1.oで撮影したものですが、被写体検出の白枠だけ表示させてギリギリまでAF開始を待って撮影しました。C-AF+TRでトラッキングさせるとEVFの表示フレームレートが下がって、コマ落ちすることがあったためです。新しい撮像センサーとEVF、被写体検出など画像処理エンジンの負荷が大きくなるとAFの速度が遅くなるようです。体感ではE-M1Xの方がレスポンスがいいように思います。

また、複数の被写体が画面内にいると画面中央に近い被写体の方に白枠が引っ張られる仕様のため、どこでAFスタートさせるかは慣れが必要です(そのためにも親指AFが使いやすいボタンレイアウトが効果的)。2024年5月現在でファームウェアはVer1.6まで更新されてある程度改善されましたが、被写体検出の基本的な動きは変わっていません。

ちなみに、被写体認識AFは、AFターゲットはAllターゲットモードで使用するようにマニュアルには書かれていますが、Allターゲットモード以外でも認識はします。認識しても設定したAFターゲットエリアに被写体がいないとAFが動かないようになっています。

フォーミュラやバイクの場合は、ヘルメットにフォーカスする。

被写体検出の効果ですが、欲しいところにちゃんとAFターゲットを合わせてくれるので高確率でピントが合います。上の画像は複数のフォーミュラの写真をOM/オリンパス用RAW現像ソフトOM WORKSPACE上で並べたものですが、小さい緑の四角◻︎が使用したAFターゲットです。流し撮りでよく使うシャッタースピードでもヘルメットに合わせています。

f/13 1/125sec ISO-80 400mm

OM-1にしてから、特にフォーミュラカーのドライバーへのフォーカスは精度が上がったと感じています。ですが、これは被写体検出AFだけが優れているからではなく、手ぶれ補正によってレンズを振った方向に適した補正がされるようになった効果もあると考えています。

ツーリングカー(いわゆるハコ車)の場合はFグリルにフォーカスする。

被写体検出の効果は単写だけでなく連写でも実感できます。上はAF-C+TRで連写した画像ですが、画面内で常に位置が変わるマシンのフロントグリルめがけてAFターゲットを合わせているのがわかります。

被写体検出AFの使用によらず、OM-1のAFの動作で注意が必要なのは、基本的にカメラの被写界深度(ピントの合う範囲)で一番手前の物体にフォーカスする癖が強いことです。

モータースポーツ撮影ではフェンス越しに被写体を撮影する場合もあり、もちろん被写体検出はするのですが、被写界深度付近にフェンスがはいっていればフェンスにAFが引っ張られます。この場合は、AFリミッターでフェンスにフォーカスしないようにするか、あきらめてMFで撮ることになります。私の場合は親指AFを使うため、親指を離すだけでMFとして扱えるので、ほとんどの場合で後者を選ぶんですが、AFリミッターをすぐ呼び出せるようなカスタマイズをするのも効果的だと思います。

f/9 1/30sec ISO-80 50mm

流し撮りの成否を左右する強力な手ぶれ補正

ボディ本体の手ぶれ補正は7段分の補正能力がありとても強力。これは、例えばシャッタースピード1/1000秒で手ぶれ補正がなくてもぶれずに撮影できる場合、手ぶれ補正をONにすることで理屈の上では、1/1000秒と同じ感覚で1/8秒まではぶれずに撮れるということになります。

この強力な手ぶれ補正は夜景などの暗い場所での手持ち撮影などで有利ですが、流し撮りにとっては曲者で、流したいはずの背景がしっかり補正されて止まり、本来流れてほしくない被写体が被写体ぶれとして写ってしまうことがあります。

そういった手ぶれ補正の「誤作動」を防ぐためには、適切な手ぶれ補正モードを選ぶこと。OM-1では、レンズの振った方向をカメラの手ぶれ検出センサーで検出して補正するIS-AUTO、常に全ての方向に補正するIS-1、横方向にレンズを振る時に縦方向を補正するIS-2、縦方向にレンズを振る時に横方向を補正するIS-3という4つの選択肢があります。私の場合はいつも同じ方向だけレンズを振ることがないので(S字コーナーやシケインを通過する被写体を連続して撮影する場合にレンズを左右に振りながらシャッター切りながらというかんじ)、IS-AUTOにして撮影することが多いですが、マシンの真横を撮る場合(画面右から左へ直線方向にマシンが進む構図の場合)、IS-2に切り替えると流し撮りの成功率が高いです。

ほかには、手ぶれ補正が足りないくらいのスローシャッターで撮影することで誤動作を防ぐこともできます。7段の補正効果は理屈の上では強力すぎですが、流し撮りのような画面全体を大きく動かす場合は多少違うようで、私の場合だと、シャッタースピード1/30sを目安に、それより速い場合は誤作動する場合があるのでOFFにし、遅い場合はIS-AUTOでも問題ありません。

手ぶれ補正の効果/誤作動は一脚を使うかどうかでも変わります。OM-1の取扱説明書では、三脚を使用する場合はIS-OFFにするように記載がありますが、一脚でも同じです。手ぶれ補正の設定は、撮りたい写真の特徴にあわせてこまめに変えることをおすすめします。ISの設定がピタリとハマるとスローシャッターでの流し撮り成功率が向上します。

f/11 1/30sec ISO-80 179mm

静音撮影(電子シャッター)が実用的で連写にもむいている

OM-1ではいろいろなドライブモード(シャッター動作の種類)が用意されています。モータースポーツ撮影でドライブモードに求めるのは、シャッターショック(によるぶれ)が少ないこと、連写に優れること、ローリングシャッター歪が少ないこと、ブラックアウトする時間が短いことなどあり、E-M1Xまでは低振動撮影(いわゆる電子先幕式メカシャッター)を使っていました。

OM-1では、あらためて静音撮影(電子シャッター)で試したのですが、私が撮影する条件ではローリングシャッター歪がほとんど目立たないことやブラックアウト時間が短い点で使いやすく、EVFのフレームレートが変わりやすいOM-1ではブラックアウトによって被写体追従(レンスの性能の話ではなく、被写体の動きに合わせてレンズを振り構図に留めておくこと)を妨げるようなタイムラグも小さくできることが期待できるため、完全に電子シャッターに切り替えました。

OM-1の電子シャッターは次の3つのモードから選べます。

OM-1の電子シャッター

  • 静音連写:毎秒5、10、15、20コマから連写枚数が選べ、1コマレリーズごとにブラックアウト(以下、BO)が発生、1コマレリーズごとに都度AFと露出、ホワイトバランスが追従。
  • 高速連写SH1:毎秒60、100、120コマから連写枚数が選べ、ほぼBOなし。シャッタースピードは1/15s以上、AFはS-AFのみに、それぞれ制限され、ピントと露出、ホワイトバランスは最初の1コマ目の条件で固定される。
  • 高速連写SH2:毎秒25、50コマから連写枚数が選べ、ほぼBOなし。毎秒50コマの場合、シャッタースピードは1/640s以上に制限される。また、使用できるレンズがPROレンスに制限される。毎秒25コマの場合は、シャッタースピードは1/320s以上に制限される(使用レンズに制限なし)。

どのモードがいいか?というのは、撮影条件やスタイルで変わってきます。

こまめにシャッタースピードを変えて被写体を流したり、止めたりいろいろな表現を試しながら条件を詰めていきたい→静音連写

構図も露出も決まっていて置きピンでフォーカスも決まっており、あとはシャッターチャンスを捉えるのみ→高速連写SH1

露出やピントはカメラに任せて、被写体を構図におさめることとシャッターチャンスに集中したい→高速連写SH2

まだ流し撮りに慣れていない人には、高速連写SH2の毎秒25コマのモードがおすすめです。シャッタースピード1/320sは、ツーリングカーやフォーミュラ、バイクなどほとんどのカテゴリーで「タイヤとホイールが回転している様子」で撮れる、「流し撮りの入口」となる条件といえるので、SH2でお気に入りのマシンを流し撮りして楽しさを体験してみてほしいです。

高速連写SH1は、連写枚数以外の条件がシビアなかわりに圧倒的な連写枚数なので、ピンポイントで撮りたい作品がイメージできていればとても効果的ですが、多くの場合でシャッターチャンスを優先していると思いますので、プロキャブチャーモードを使う方がいい場合もありそうです。

f/13 1/320sec ISO-200 560mm

これは高速連写SH2の毎秒25コマのモードで撮ったものです。モビリティリゾートもてぎのS字コーナー2個目ですが、1/320sでもホイールが回転している様子が撮れています(比較的速いシャッタースピードでもコーナー立ち上がりでの加速があるシーンではAFの追従があってもフロントグリルのわずかなピンボケ/被写体ブレが入る場合があります)。

画質について

新型裏面照射積層センサーで驚くほどよくなったかというと…

画質に関しては発売開始から十分時間が経ったこともありすでに評価が定まっているかと思いますが、裏面照射型の積層センサーによってダイナミックレンジやノイズに驚くほどの改善があったかというと、それほどでもなく、フォーサーズセンサーというフォーマットの限界がこの辺なんだなとあらためて実感させられたのが実際です。

今までオリンパスのカメラを使ってきた人なら違和感なく扱える(せいぜいISO6400くらいまでじゃないとノイズが目立つとか、キヤノンよりも彩度は控えめで自然な発色とか、シャープネスかけなくても十分シャープだからポートレートは注意、などなどのクセは共通)というのは、自分にとっては安心要素でした。

暖色系の発色が良くなった?

ダイナミックレンジに関しては、ピーカンの天気で派手な被写体と真っ黒なアスファルトという高いコントラストで撮るという状況でも、AE任せで下手に露出補正しなければ白飛びも黒潰れも起きません。一般的にモータースポーツの撮影では、白飛びを避けてアンダー目に露出補正して撮るのがセオリーとされていました。OM-D/OMシリーズについては、暗部に輝度ノイズ/カラーノイズが出やすく、一方でハイライトは結構ねばる(白飛びしにくい)ので、露出補正±0かややオーバー目でも大丈夫です(RAWで撮って編集で補正すれば良いという意味)。

個人的には、若干有彩色の発色が良くなったかなと感じていて、モータースポーツの場合、赤の表現が深くなったように感じられます。ARTAのオートバックスカラー、蛍光レッド/オレンジが特に気に入ってます。

f/1.8 1/500sec ISO-400 25mm

f/8 1/320sec ISO-200 300mm

f/8 1/160sec ISO-200 195mm

上の3枚のARTA NSXはいずれも違うシーズンなのでオートバックスのあのカラーも微妙に異なりますし、屋内/屋外、晴天/曇天でかなり見え方が変わる色ですが、彩度やコントラストなどのJPEG/現像設定によって簡単に階調が破綻(同じ色味の赤/オレンジになってしまってボディの凹凸が感じられなくなるほど潰れるなど)してしまいます。OM-1はそういった難しさがなく、JPEGではまず間違いないですし、RAWで撮っておけば後の現像/編集で自分好みのレッド/オレンジに仕上げることができます。

マイクロフォーサーズのノイズ

受光面積の小さいフォーサーズセンサーにとってノイズはいつも課題で、高感度側のノイズ耐性はフルサイズに比べれば限界が低いです。マイクロフォーサーズのカメラで現状の限界は画質的に妥協できるのはISO6400くらいまで、OM-1についてはISO25600が実用上の限界だと考えています。実際のS耐の24時間レースや鈴鹿8耐のナイトランのような状況だと、画質よりも先にEVFのフレームレートが落ち、EVF像もノイズだらけになってしまうことで撮影自体が難しいということの方が影響は大きいと思います。

通常の昼間のイベントでの撮影では、ほとんどの場合で標準感度ISO200や、スローシャッターでISO100、80のいわゆる拡張感度域の使用がほとんどですが、拡張感度を使う場合は暗部に輝度ノイズ(暗い場所のはずなのにポツポツと白っぽく見えるピクセルが出る)が出やすいことに注意が必要です。OM-1ではJPEGでのノイズ処理が良くなっているようですが、RAWからの現像では、標準アプリケーションのOM WORKSPACEで使用できるAIノイズリダクションや、他社製のAIノイズ処理ソフトで処理できるようになりました。

f/6.3 1/500sec ISO-80 400mm

逆光にマシンのシルエットが浮かぶようなシチュエーションはとてもフォトジェニックな瞬間ですが、暗部へのノイズには注意が必要です。ノイズ処理はもちろんですが、現像/編集でコントラストを大きくつけて暗い背景をしっかり潰す(真っ黒にすることで背景を整理する)、逆に暗い背景部分のコントラストを落としてノイズを目立たなくするなど、作品性を与えながらノイズに対処する工夫もあります。

 

ミラーレスカメラ最強の防塵防滴

 

降り始めたらとりあえず自分の身支度に集中すればよい、という余裕

オリンパス時代から受け継がれている防塵防滴性能はOMDSになっても変わらず信頼性が高いです。防塵防滴のないカメラでは、セッション前に雨が降ることを予想してレインカバーを準備して…、という順番になりますが、OM-1を使っていれば、雨の降り始めをみてから自分のレインコート/ポンチョを用意するだけでよく、あとはレンズ前玉を濡らさないようにだけ気をつけて撮影に集中できます。

f/9 1/125sec ISO-400 100mm

f/16 1/20sec ISO-200 47mm

2022年のF1日本GPは冷たい雨が赤旗まで降り続けるレースでした。防塵防滴といっても雨の中でレンズ交換はさすがにできないわけですから、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4 IS PROのような防塵防滴かつ高画質な高倍率ズームというのがよい選択です。暗い状況ですがISO400くらいならシャッタースピード1/125s程度の流し撮りにはちょうどいいくらいの露出です。流さず止める場合ならISO800〜1600で選べば極端にノイズに悩むことはないはず。

f/22 1/125sec ISO-80 314mm

かなり極端な条件(実際には昼間である程度の明るさがある中で低感度+絞ってアンダーに撮影)ですが、雨でももちろん被写体検出は効きますしAFはちゃんと作動するので、例えば、雨滴が着いて滲んだような灯りのヘッドライトなんかも表現可能です。

f/10 1/160sec ISO-80 218mm

ウェットの撮影は、雨滴/水滴をどう表現するかを考えるのが楽しいところ。引きの構図でスローシャッター気味に撮って巻き上がる「水煙」として表現したり、被写体にぐっと寄って一滴一滴の水滴の動きを高速シャッターでおさめるとエアロダイナミクスが垣間見えるサイエンティフィックアートにも表現できます。

雨中撮影後のお手入れについて

撮影後のお手入れですが、撮影直後から毎回次の手順で行っています。

レンズの取り外しから乾燥まで

  • タオルやウエスなどの吸水性のよいもので全体の水分を拭う:レンズを外す時に水分がレンズやカメラ内部、接点にはいってしまわないよう、特にマウント周辺はしっかり水分を拭い、その後にレンズを外します。
  • レンズフードとキャップを外し、レンズ前玉表面についた水滴をブロアーで吹き飛ばす:レンズ傷防止のために原則としてレンズ表面には触れないようにします。
  • レンズ表面以外の部分に付いた水分、レンズフード、キャップに付いた水分をタオルなどで拭う:ズームレンズはズームを伸ばして全体の水分を拭います。キャップやフードの細かい凹部分に入った水分などはブロアーで吹き飛ばします。
  • レンズ、フード、キャップを乾かす:ズームレンズは伸ばしたまま、キャップはレンズ保護のため取付けた状態で、乾燥した室内や乾燥剤を多めに入れたドライボックスやファスナー付きビニールパック(いわゆるジップロック)などに入れてそれぞれ乾かします。

カメラ本体の乾燥まで

  • 上記でレンズを外した後すぐにマウントキャップをつけて水分が入らないようにする
  • ファインダーのアイピースを外して水分を拭う:細かい凹部分に入った水分はブロアーで吹き飛ばします。
  • 液晶パネルを開き、水分を拭う:パネル取付ヒンジなどの細かい凹部分に入った水分はブロアーで吹き飛ばしてから拭います。
  • バッテリーグリップを使用した場合はバッテリーグリップを外す:本体底面との隙間に水分が入っているので、バッテリーグリップの接点に水分が付かないよう、そっと取り外し、接点部はカバーを取付けます。
  • バッテリーグリップ、カメラ本体底面の水分を拭う:しっかり拭った後、接点部のカバーを外して水分の付着がないことを確認します。水分が付いていた場合は、すぐにブロアーで吹き飛ばし、乾いたことを確認してカバーを戻します。
  • バッテリーグリップ、カメラ本体からバッテリーを取り外す:それぞれの開口部に水分が付いていた場合はよく拭います。
  • バッテリーグリップ、カメラ本体を乾かす:アイピースとバッテリーグリップは本体から取り外したまま、液晶パネルは開いた状態で、乾燥した室内や乾燥剤を多めに入れたドライボックスやファスナー付きビニールパック(いわゆるジップロック)などに入れてそれぞれ乾かします。

特に、バッテリーグリップの防滴シーリングは接点まわりに施されているので、本体底面との隙間にしっかり入ってしまいます。取り外して拭わないと取り除けない(隙間が狭いのでブロアーで吹き飛ばすことができない)ので注意が必要です。

雨中撮影後にバッテリーグリップを外すと本体との間には水が入るがそれぞれ防滴されている。

 

次回はレンズ別インプレッション

OM-1のモータースポーツ撮影レビュー、一回でまとめてしまおうかと思ったのですが、2年分のたっぷりの写真があるので、総まとめ的な意味もこめて数回に分けてお送りしようと思います。

今回はOM-1のキモであるEVFと被写体認識AF、手ぶれ補正について、今までのレビュー以上に突っ込んで、悪い部分をしっかり挙げつつ、それをどうやってカバーするかという使いこなしについて書きました。AFなどは正直言って前作のE-M1X/E-M1 MarkⅢよりも使い勝手の悪い部分が多く、後継機のOM-1 MarkⅡでハードウェアを含めた改良となっている状態で、OM-1ユーザーとしては秋に公開されるというファームウェアバージョンアップが頼みの綱という状態ですが、そこを使いこなしでカバーできればと思っています。

次回からは、レンズ別のインプレッションとしてレンズ毎の使いこなしについて、今回同様多めの作例写真と合わせてご紹介したいと思います。

記事中の作例写真の現像条件について

記事中の写真はいずれも撮影したRAWデータからOM SYSTEM標準の現像アプリケーションOM WORKSPACEを使って以下の条件で現像したもので、可能な限りカメラの素の画質や色味が表現される設定で現像しています。

  • トリミング:個別に適宜設定(トリミング後のサイズは3000×4000ピクセル相当以上は残る程度)
  • 露出補正:個別に微調整範囲で設定
  • ホワイトバランス:オート(電球色残し:OFF)
  • 仕上がり:Natural
  • 階調:標準
  • カラー設定:sRGB

他の項目については設定せず

 

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