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モータースポーツ撮影のためのマイクロフォーサーズ・バイヤーズガイド(2)

MFT buyers guide for ms

マイクロフォーサーズ規格でモータースポーツ撮影をしたいと考えている人のためのカメラ選び。

前回は、初めて一眼カメラを手にする方をはじめとしたライトユーザーや、そこからステップアップを考えているようなミドルユーザー、とにかく安くモータースポーツ撮影をはじめてみたい方向けにいくつか紹介しました。

今回は、がっつりマイクロフォーサーズで撮影している方や、他フォーマットでのモータースポーツ撮影に慣れた上級者向けに考えてみました。

オススメマイクロフォーサーズカメラ&レンズ【上級】

【上級】コンパクト&高性能を追求するハイアマチュア、マイクロフォーサーズLOVEなエンスージアストむけ

誤解のないようにあらかじめ説明しておくと、ここでいう「上級」はカメラの腕前や知識の深さをさしていません(笑)。

マイクロフォーサーズで高性能を追求してみたいハイアマチュアな方や、フォーサーズ/マイクロフォーサーズシステムに惚れ込んだエンスージアストな方を上級者と呼び、挑戦いただきたいシステムの提案です。

*ハイアマチュアの1Stシステムとして… E-M1 mark III&mark II*

または

ハイアマチュアなオリンパスユーザーの中には、すでにE-M1 mark IIからmark IIIへ乗り換え済みの方は多いとは思いますし、300mm F4.0 (サンヨン)もお持ちかもしれませんが、あらためて紹介です。

すでにE-M1 mark IIを持っている人が無理に買い換える必要はない

4/3RacePhotosでは、すでにE-M1 mark II発売からモータースポーツ撮影に使用し、撮影した写真とともに紹介してきました。

ファームウェアバージョン2.0以降でC-AF、C-AF+TRのレスポンスが向上し、バージョン3.0以降ではC-AF中央スタートの機能追加がありました。

これによってサーキットを走行するマシンのFグリルやドライバーのヘルメットにピンポイントでAFを合わせることができるようになりました。

E-M1 mark III登場後ですが、E-M1 mark IIはかなり満足度が高く、現在モータースポーツ撮影のためにmark IIを所有している方が無理にE-M1 mark IIIへ更新する必要性はそれほど高くないと考えています。

E-M1 mark IIIのオススメ度は新画像処理エンジンの伸び代次第?

一方のE-M1 mark IIIですが、mark IIからの変化として、画像処理エンジンがTruePic ⅧからTruePic Ⅸにアップグレードされたことによる性能向上、機能追加がほとんどです。

オリンパス(https://www.olympus-imaging.jp/)より

主な静止画関係だと次のようになっています。

  • 性能向上:顔/瞳優先AF、手ぶれ補正
  • 機能追加:星空AF、手持ちハイレゾ、ライブND、カスタムAFターゲット、USB給電、マルチセレクター

カスタムAFターゲットなどのAFまわりが扱いやすくなっている点はモータースポーツ撮影には魅力的です。

そのほかに、C-AFなどの食いつきがよく感じられるという口コミがちらほらみられます。

TruePic Ⅸでカメラ全体を制御する処理能力が向上しているのが理由だと思われます。

今後AFまわりのファームウェアアップデートがどれくらい行われるか、それによってE-M1 mark IIIのオススメ度は変わりそうです。

もちろん、手持ちハイレゾや星空AFなど、モータースポーツ撮影以外の撮影を楽しむにはユニークな機能が盛りだくさんですし、OM-Dシリーズの集大成、完成形と言えるカメラですから、アップグレードする価値は高いですね。

オリンパスボディでモータースポーツ撮影するなら一度はサンヨンを

M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROは、2020年上半期までにおけるオリンパスのフラッグシップレンズとして確かな性能と画質を保証してくれる1本です。

f/5.6 1/160sec ISO-100 420mm

x1.4テレコンと合わせて420mmF5.6ですから、フルサイズ一眼でいうところのハチゴロー相当(800mmF5.6)。

一脚に取り付けて担ぐスタイルで得られる焦点距離と構図のバリエーションが、手持ちで手に入ります。

とりあえず望遠で一番いいレンズを買いたい、となれば、サンヨンを買っておけば間違いナシです。

今後は、M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 ISがスタンダードグレードのレンズとしてロードマップ上で発表されていますので、E-M1 mark III/IIと組み合わせて使用するレンズとして選択肢が増える予定です。

OLYMPUS LENS ROADMAP

オリンパス(https://cameras.olympus.com/zuiko/ja-jp/)より

 

*フォーサーズ時代から愛用しているエンスージアストには…E-M1X*

E-M1 mark IIIの登場によって、「オリンパス本流のフラッグシップはE-M1 mark III」というのが定説になりつつありますね。

しかし、モータースポーツをはじめ、「動きモノ」を撮影するフォトグラファーにとっては、E-M1Xを無視することはできません。

オリンパスファンを悩ませる異端のフラッグシップ

初代E-M1登場から3年後にmark IIに買い換えたオリンパスファンは、「2020年にフラッグシップのmark III登場だろうな」と予想していたはず。

そのスパンを前倒して2019年に登場したE-M1Xのボディ(と価格)に戸惑い見送った方は多いんじゃないでしょうか。

そして今年予想通り出たE-M1 mark IIIを見て再び戸惑った、という方も多いと思います。私がそうです(笑)。

開発陣が、当時のリソースでやりたいことを全てやった、というE-M1Xは、E-M1 mark II以来採用している技術を応用して開発されました。

デュアルTruePic Ⅷや新開発ジャイロセンサーにより強力なスペックとなった一方で、搭載スペースと冷却のために、縦グリップ一体型のボデイとなりました。

撮像センサーやEVFの更新を期待していたファンは戸惑ったと思います。

オリンパス(https://www.olympus-imaging.jp/)より

そこから1年すぎてE-M1 mark IIIとなってもセンサーとEVFの更新は先送りとなり、やはり戸惑ったファンはいたと思いますが、TruePic ⅨによってE-M1X専用だった機能のいくつかが搭載された点が歓迎されている状態でしょうか。

「コンパクトで機動力に優れるマイクロフォーサーズ」のウリをことごとく無視し、「全部のせ」を敢行した結果、重厚長大となったE-M1X

ガンダムで例えるなら、強力な重火器を搭載するために厚い装甲とバーニア類でどんどん大きくなった「フルアーマー系」。

登場から17年近く続くフォーサーズの歴史だったり、オリンパスのエンジニア達の奮闘に思いを馳せるとロマンを感じずにはいられません(笑)。

デュアルTruePic = インテリジェント被写体AF にロマンを感じるか?

オリンパス(https://www.olympus-imaging.jp/)より

さて、そんなE-M1Xですが、E-M1 mark IIIとの決定的な違いはTruePicの個数。

E-M1XのデュアルTruePic Ⅷによって、シングルTruePicに比べて処理が速くなったこと(画像処理の多くは並列処理しやすく、デュアル化で効いているはず)、並列処理数が増えたことで、手持ちハイレゾやライブND、インテリジェント被写体認識AFが可能になりました。

一方、E-M1 mark IIIではTruePic Ⅸとなり、手持ちハイレゾとライブNDが可能になりました。

しかし、インテリジェント被写体認識AFだけは搭載されていません。並列処理の問題です。

オリンパスの公式動画チャンネル「OLYMPUS LIVE」でE-M1 markIIIの開発者による解説を見ることができます。

この動画中、E-M1 mark IIIの顔/瞳優先AFの解説をしているくだりに(25:00ごろ)、E-M1Xが被写体認識のためにデュアルTruePic Ⅷの片方、1機まるごとをディープラーニングによる被写体認識のために使っていると説明しています(一方の顔/瞳の認識は従来のパターン認識)。

TruePicはオリンパスが独自開発したASIC(特定用途向け集積回路)なので、パソコンのCPUのように性能を測定するベンチマークアプリなどはなく、世代間の性能を定量的に比較することはできません。

しかし、TruePic Ⅷを1機必要とする非常に高負荷なインテリジェント被写体認識を、E-M1 mark IIIのTruePic Ⅸが(新世代エンジンとはいえ)他の処理と同時並行で処理できるとは考えにくいですね。

このことから、インテリジェント被写体認識はE-M1Xのみの機能で、E-M1 mark IIIに今後ファームウェアバージョンアップでも搭載されない可能性が高いと考えます。

(むしろ、TruePic Ⅸのポテンシャルは、今後、高画素対応のために使われるべきだと思うのですが…)

デュアルTurePic化にともない、縦グリップ一体型ボディとなり、その余裕スペースに縦グリップ用のマルチセレクターが付くことになりました。

また、TruePic1機あたりに1個しか使用できないUHS-IIポートも、E-M1Xならスロット1と2両方で使用できるようになっています。

「マイクロフォーサーズかくあるべし」を無視し、ここまで大きくしても搭載したインテリジェント被写体認識AFが、E-M1Xをモータースポーツ撮影のためにチョイスする1番の理由と言っていいでしょう。

E-M1系をモータースポーツに使用しているプロの写真家、小城崇史さんが、インテリジェント被写体認識AFのモータースポーツモードについて解説しています。

2019年8月、9月にオリンパスプラザで開催されたモータースポーツ写真展『Racing 2&4』の中で実施されたトークショーで、E-M1Xでモータースポーツ撮影した際のポイントについて解説されていました(現在は、オリンパスプラザ大阪で開催された時の動画がFacebookページで公開されています)。

インテリジェント被写体認識AF、縦グリ一体型ボディ、縦位置マルチセレクターのいずれかが欲しい方はE-M1Xを、そうでない方はE-M1 markIIIという選択になります。

サンヨンは縦グリとのバランスがよい

これに組み合わせるレンズは、M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO。

モータースポーツ撮影においては、1.4倍テレコンで組み合わせれば、ほとんどのサーキットで焦点距離不足感じることはありません。

2倍テレコンならフルサイズユーザーが撮れない構図にもチャレンジできます(フルサイズの場合はトリミングするでしょうけど)。

他社のサンヨンと比較するとサイズ、重量は同等程度なので、ボディ側はE-M1Xのように縦グリがあると重量バランスはいいです。

現在の私の使い方がE-M1 markIIに縦グリのスタイル。

合わせても2kg未満なので手持ちで流し撮りも可能ですが、長丁場の撮影では一脚を使う場合が多いです。

ともかく圧倒的な解像感で、「大枚はたいて買った甲斐がある」と納得感が高いです。あとは使いこなす腕だけ(笑)。

サンニッパはいまだフラッグシップ、今年ついにお役御免か?

他には、ZUIKO DIGITAL ED 300mm F2.8をE-M1Xに合わせるというのも、ロマンがあっていいですね。

もちろん、フォーサーズのSHGレンズだから画質は間違いなし、AFはフォーカスリミッターを上手く使ってカバーです。

ところで、オリンパスの大口径望遠レンズとしては、近々、M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROが登場します。

こちらは、試作品でテストがスーパー耐久の公式テストが行われた富士スピードウェイで目撃されているので、モータースポーツ撮影が念頭におかれてるようですよ。

*プラスアルファを楽しむ…ライカの望遠で画角の変化を楽しむ*

E-M1XとM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROの組み合わせは、オリンパスで構築できるシステムの現時点での最高峰です。

ただ、もう少し焦点距離/画角の自由度が欲しいところ(サンヨン以外には、あとM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROくらいしかない)。

望遠の画角のラインナップを広げるために、パナソニックのマイクロフォーサーズ用高画質レンズから選んでみましょう。

パナソニックのライカブランドレンズで最高級となるのがLEICA DG ELMARIT 200mm/F2.8/POWER O.I.S.です。

焦点距離が足りない場合には、2倍テレコンと合わせて400mm F5.6までかせぐことができます(M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROに1.4倍テレコンを合わせたものとほぼ同等)。

E-M1Xと合わせる場合には、レンズとボディのファームウェアを最新にすることでAFの精度と速度が発揮できます。

LEICA DG ELMARIT 200mm/F2.8/POWER O.I.S.についで高級なのがこのレンズ。

1.4倍テレコンと合わせて70−280mm F4.0-5.6、2倍テレコンとなら100−400mm F5.6-8.0になり、モータースポーツ撮影にはおそらく一番使いやすい焦点域です。オリンパスのボディとのAFの相性も問題なし。

私の場合、フォーサーズ時代のZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD+EC-14/20という同じ焦点域でかなりの撮影をしています。

サーキットの観戦席上段から50mmでコース上のマシンを撮影すれば背景がしっかり入るし、低速コーナー付近のコースサイドから400mmでマシンを狙えばドライバーの表情を見ることもできます。

50mm, F13, 1/20s, ISO100

f/7 1/250sec ISO-800 400mm

LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm/F2.8-4.0 ASPH./POWER O.I.S.は、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO+MC-14と比較される場合がありますが、2020年に入ってからのオリンパスのPROレンズの価格改訂を受けて、両者はほぼ同じ市価になっています。

パナソニックのレンズで最も焦点距離の長いレンズ。

前述した2本と比べて暗いですが、その分サイズがコンパクトですし、そもそも屋外のモータースポーツで流し撮りする場合に暗さはあまりネガになりませんね。

パナソニックの望遠ズーム全般に言えることですが、望遠端よりも中間域が比較的シャープでしっかりした解像が得られます。

このレンズの場合は300mmが解像的にはおいしいところ。

このレンズは、M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROと同時期に発売され、価格的にも近かったですが、最近はすっかりこなれて10万円代後半から購入可能。

今後、M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 ISが登場することを考えると、スペックと価格ともにライバルとなることでしょう。

こういう記事を書いたということは…

2回に分けて、オリンパスのカメラでモータースポーツを撮影するための選択肢をいくつか紹介しました。

オリンパスだけでこれだけ書けるわけですから、他のメーカー、フォーマットまで含めると、その組み合わせは星の数ほどあると言ってもいいでしょうね。

前回冒頭にも書いたように、E-M1 mark IIIを買おうかどうしようか、と悩んでアレコレ考えたことをとりとめもなく書いてみたのがきっかけです…

My new gear ...

悩んだ結果は次回お伝えしたいと思います。

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