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E-M1markII ファームウェアVer.2.1 サーキットAF性能テスト(PROレンズ使用)

2018年10月12日

オリンパスE-M1 MarkIIのファームウェアVer.2.1のAF性能テストの第2弾はオリンパスのマイクロフォーサーズ専用レンズとの組み合わせでお届けします。

前回のフォーサーズレンズを装着したAF性能テスト(ファームウェアVer.2.1)どれくらいの差がでるでしょうか。

このテストの後に8/30付けでファームウェアVer.2.2が公開されましたが、AFに関しては今回紹介するVer.2.1と同様です。

テスト方法と機材について

テストの方法などは前回と同じですが、もう一度整理しておきます。

E-M1markIIのAFをおさらい

最初に、E-M1markIIのAFには3つのモードがあるので、それぞれの動作をおさらいしておきましょう。

モード 操作と動作※ 連写時の動作
S-AF(シングルAF) シャッターボタンを半押しすると、その都度1回だけAFターゲットにピント合わせ(フォーカス)する。ピントが合う(合焦する)とピッと音が鳴る。シャッターボタンを押し込むとそのピント状態でシャッターが切れる(レリーズする)。 連写モードの場合、そこからシャッターボタンを押し続けると同じピント状態でレリーズし続ける。
C-AF(連続AF) シャッターボタンを半押しするとAFターゲットにピント合わせを行い合焦するとピッと鳴る。その後、半押している間中はフォーカスし続ける。シャッターボタンを押し込むとその時のピント状態でレリーズする。 連写Lモードの場合、シャッターボタンを押し続けるとレリーズとレリーズの間もフォーカスし続ける。連写Hモードの場合、最初のピント状態から変わらずレリーズし続ける。
C-AF+TR(追尾AF) シャッターボタンを半押しするとAFターゲットにいる被写体にピント合わせを行い合唱するとピッと鳴る。その後、半押ししている間中は最初にフォーカスした被写体の移動に合わせてAFターゲットも移動しフォーカスし続ける。シャッターボタンを押し込むとその時のピント状態でレリーズする。 連写のときの動作はC-AFと同じ。

※デフォルトのボタン設定を前提とした説明です

また、ピントを合わせるためのAFターゲットについては、ファームウェアVer.2.0以上では5つのモードから選択できます。

モード 選択画面 選択方法と動作
オールターゲット すべてのAFターゲットからカメラが自動的にターゲットを選ぶ。隣り合った複数のターゲットを選択することがある。
シングルターゲット 1つのAFターゲットを手動で選ぶ。
NEW!
スモールターゲット
シングルターゲットよりも1まわり小さいAFターゲットを手動で1つ選ぶ。C-AF+TRでは使用できない。
5点グループターゲット 手動で選択した1つのAFターゲットと、それを中心とした上下左右1枠分の合計5つのターゲットからカメラが自動的に1つのターゲットを選ぶ。
9点グループターゲット 手動で選択した1つのAFターゲットと、それを中心とした周囲1枠分の合計9つのターゲットからカメラが自動的に1つのターゲットを選ぶ。

今回は、スモールターゲットと5点グループターゲットを使用しています。

オールターゲットはカメラが自動で選択するために必ずしも狙った被写体にターゲットが合わない場合があります。構図を決めて画面の特定の位置に被写体を配置してピントを合わせたい場合にはむきません。

ファームウェアVer.2.0からはスモールターゲットが使えるようになりました。シングルターゲットよりもさらに的を絞ってピント合わせを狙うことができそうです。ただし、C-AF+TRでは使えないため、C-AF+TRのテストでは5点グループターゲットを使用しています。9点グループターゲットよりも範囲をせばめてピント合わせを狙います。

テストの方法

被写体とロケーション、撮影モード

テストはツインリンクもてぎで行われた(8/19もてぎ2&4)スーパーフォーミュラのフリー走行と決勝レースを走るマシンがS字2個目出口付近を通過するところに向かってコーナーアウト側スタンドから流し撮りしました。

S-AFでは、S字2個目立ち上がり前後でシャッターボタン半押し、フォーカス音(ピッという音)を聞いたらそこからシャッターボタンを押し込んでレリーズします。
システムとしての実用上のスピードとして、AFとシャッターの動作時間、ファインダー(EVF)の表示タイムラグ、フォーカス音を聞いてシャッターボタンを押すまでの反射時間の合計を判断することになります。

C-AFおよびC-AF+TRでは、S字1個目立ち上がり後からフォーカス開始し、2個目立ち上がり前後でシャッターボタンを押し込んでレリーズします。S-AFに対して、最初からフォーカスし続けている点が異なります。

C-AF+TRでは連写でもテスト。連写LモードでS字1個目立ち上がりから2個目の立ち上がりまでを連写で、被写体の動きにあわせてあらかじめ決めた構図を整えるようにレンズを振りながらの撮影になります。S-AFやC-AFのように固定したAFターゲットに被写体を合わせ続けることに気を取られる場合には、C-AF+TRに任せることができればより構図に集中できます。

撮影画像の確認

こちらも前回と同じく、画像は以下の条件でRAW現像して評価しました。

現像条件
下記以外のその他の編集パラメータは設定していません。
Olympus Viewer3(バージョン:2.1.0)
アートフィルター:なし
露出補正:0EV
ホワイトバランス:オート
仕上がり:Natural
ハイライト&シャドウコントロール:OFF
階調:標準
コントラスト:0
シャープネス:0
彩度:0
収差補正:色収差R/C、B/Yともに0
ノイズフィルタ:標準
偽色抑制:自動、孤立点除去0
カラー設定:sRGB

機材について

本体とその設定

E-M1 MarkII本体は流し撮りに必要な設定を中心に適宜選択しています。

ファームウェア:Ver.2.1

撮影モード:シャッタースピード優先
露出補正:0EV
ホワイトバランス:オート
仕上がり:Natural
ハイライト&シャドウコントロール:OFF
階調:標準
コントラスト:0
シャープネス:0
彩度:0

AFターゲットモード:スモールターゲット
※C-AF+TRでは5点グループターゲットを使用
手ブレ補正:OFF

LVブースト:On1
EVFフレームレート:高速

使用レンズ

オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO

f/2.2 1/777sec ISO-25 4.15mm

2018年10月現在で、オリンパスのマイクロフォーサーズ専用レンズの中で最も焦点距離が長いレンズです。長いオリンパスの交換レンズの歴史においてレンズ内手ぶれ補正機構は実はこれが最初。1.4倍のテレコンバーターMC-14と組み合わせれば35mmフィルムカメラ換算で840mm相当の超望遠レンズとなります。

画質はフォーサーズ時代の最高峰ZD ED 300mm F2.8をも凌ぐ高解像とされ、AFも高速、高精度ながら、いわゆるサンヨンのレンズサイズなのでハンドリングも良好。欠点をあげるとすれば、サンヨンにしてはかなり高価でオリンパスマイクロフォーサーズレンズの中でも一番お高いレンズということでしょうか。

これまで43RacePhotosでは、フォーサーズ時代の望遠ズームレンズ、サードパーティの高倍率望遠レンズと、ちょっと奇をてらったレンズチョイスでモータスポーツ写真での適用可能性について紹介してきました(理由は主におサイフ事情なのですが…)。今回はオリンパス純正の、しかも最高峰のPROレンズでのパフォーマンスをチェックします。

テスト結果

撮影した結果をご覧いただく前に…

今回掲載している画像は、特に記載しないかぎり等倍画像あるいはそれに近いサイズの画像(最大18MB/枚)にリンクしています。

スマホなどの通信速度や容量に制限があるモバイル環境などでは、画像の閲覧に著しく支障があるかと思われます。固定回線などの速度と容量に余裕のある環境での閲覧をおすすめします。

S-AFでのAF性能をチェック

さっそく、S-AFでのテスト結果からみていきましょう。

f/6.3 1/500sec ISO-320 420mm

まずは1/500s。当日は8月後半としてはかなり涼しく、日もそれほど照っていなかった状態でした。シャッタースピード優先でF6.3/ISO320に増感されました。焦点距離はテレコンバータMC-14を付けた値。

前回同様にドライバーのヘルメットにAFターゲットを合わせて撮影。等倍で切り出すとこんな感じ。

若干のブレが残りましたが、ヘルメットやモノコックのカラーリングやスポンサーロゴをみれば、ピントが合っているのが確認できます。

f/7.1 1/250sec ISO-200 420mm

 

 

f/11 1/125sec ISO-200 420mm

 

 

f/16 1/60sec ISO-200 420mm

 

前回のフォーサーズレンズ編と同様1/250sから1/60sまでシャッタースピードを段階的に1/2ずつしていき撮影しました。1/60sまではフォーサーズの時よりもブレが少ないのでピントが合っていることが確認しやすいですね。

f/22 1/30sec ISO-200 420mm

 

1/30sになると前回のZD ED 50-200mm F2.8-3.5 SWDの場合とブレは同じ程度になりました。画質うんぬんは比較できませんが、ピントが合っているのはわかるかと思います。

 

S-AFについて

AFの速さはやはりオリンパス純正マイクロフォーサーズレンズ。ZD ED 50-200mm F2.8-3.5 SWDでも充分に速いと感じていますが、サンヨンはさらに速い。フォーサーズ時代はE-3,5とSWDレンズの組み合わせでS-AFが爆速でしたが、E-M1markIIとサンヨンの組み合わせは同等レベル。合焦音を聞いてからレリーズしているわけなので、1/60sまでスローシャッターになってもブレが小さくてすんだことと決して無関係ではないでしょう。フォーカスからレリーズまでのタイムラグが軽減されているのだと考えます。

C-AFの場合をチェック

f/5.6 1/500sec ISO-250 420mm

次はC-AF。シャッタースピードは1/500sから落としていきます。

同じくヘルメットにフォーカスを狙っていますが、ちょっとブレが大きい。絞り解放ですが、十分な被写界深度のおかげでピントはずれているようには見えません。

f/9 1/250sec ISO-200 420mm

 

 

f/11 1/125sec ISO-200 420mm

 

 

f/16 1/60sec ISO-200 420mm

 

 

f/22 1/30sec ISO-200 420mm

 

1/250sから1/30sまで1/2ずつ、一気に見てもピントを外すようなことにはなっていません。シャッターボタン半押しの状態でフォーカスを外したり、迷ったりといった動作はないままレリーズできており、安定して撮影できました。

f/22 1/15sec ISO-80 420mm

 

ちなみに1/15sでも撮影してみました。ヘルメットのカラーリングをみれば、ほとんどはブレでピントは外していないことがわかります。

C-AF+TRの場合をチェック

今度はC-AF+TRで被写体追従を試します。

f/6.3 1/500sec ISO-320 420mm

 

伊沢選手の今季のヘルメットカラーは白地に蛍光色で細いラインが入っており、光の具合によってはコントラストが不明瞭になりがち。こいういった場合にはやはり位相差検出式のAFが有利でしょう。

f/6.3 1/250sec ISO-200 420mm

 

 

f/8 1/125sec ISO-200 420mm

 

 

f/13 1/60sec ISO-200 420mm

 

 

f/18 1/30sec ISO-200 420mm

 

 

f/22 1/15sec ISO-200 420mm

 

C-AF+TRでも先ほどのC-AFと同様に1/250sから1/15sまで順に試してみましたが、ピントは合っているようです。そしていずれの場合もC-AFと比べて構図を整えやすく感じました。これは前回と同じようにC-AFほど厳密にマシンの動きに気を取られずに構図に集中できていることによります。

お詫びとオマケ(連写忘れました…)

さて、サンヨンでも前回と同じように連射での被写体追従性のチェックを紹介しようと考えていたんですが、レースの進行にともなって本来の撮影に集中してしまい、撮り忘れてしまいました(汗)。そこでカテゴリや条件がちょっと変わるのですが、昨年のWTCCで同じように連写をテストしたときの画像がありましたので、それを紹介します(なのでここだけファームウェアVer.1.2)。

まず、連射の最初と最後の一枚ずつをトリミングなしでご覧ください。

f/7.1 1/125sec ISO-200 300mm

f/7.1 1/125sec ISO-200 300mm

こちらはハコ車なので、フロントグリル(主にエンブレム)にフォーカスするように狙います。ピントが合っていると、フロントグリルのほか、フロントスポイラーからワイパーあたりまでがシャープに見ることができます。

昨年のWTCCレース1(オープニングレース)は雨の中スタートしました。かなりヘビーレインのコンディションでしたので、コーナリングスピードはひかえめでラインどりも異なるため、S字を通過する間に20枚以上撮影しています。スピード的にはAFに有利ですが、ヘビーレインで暗くて大きな雨粒も邪魔な点はAFには不利です。

今回も1920x1440ピクセルでトリミングしたものを5x5枚並べたもので連射を確認します。

f/7.1 1/125sec ISO-200 300mm

等倍で見るとすべてのコマでピントがあっていることがわかります。ただし、チェックマークしているコマにあるように、被写体の動きにうまくレンズを振ることができずに被写体ブレとなっているコマが大半です(汗)。サンヨンを手に入れて最初のレースがウエットコンディションということもあって、上手く扱いきれていなかったようです。

一方で、ハートマークをつけているコマに関しては、ブレの制御が適切なために、サンヨン本来の解像力の高い、ガリピンのコマを得ています。慣れないながらもカメラとレンズに任せて「撮らされた」状態ですが、それでカッチリした画像を4枚/25枚の確率で撮れたことは十分な収穫だったと思います。

C-AFについて

前回のZD ED 50-200mm F2.8-3.5 SWDのときと同じく、マイクロフォーサーズ専用レンズでももちろんC-AF+TRの追従性でカメラ任せにできて、構図やレンズを振ることに集中できる感じられます。

また、オマケとしてファームウェアVer.1.2のC-AF + TRの連写結果もご覧いただきましたが、マイクロフォーサーズ専用レンズであればこの時点で十分なAF追従性だと考えられます。

まとめ

2回にわたってファームウェアVer.2.1で純正フォーサーズレンズとマイクロフォーサーズ専用PROレンズのAF性能をテストしました。

  1. S-AFでのAFスピードの向上が感じられる。フォーカスからレリーズまでのタイムラグが軽減されている。
  2. C-AFではS-AFと同様にAFスピードの向上を感じられる。シャッターボタン半押しの状態でフォーカスを外したり、迷ったりといった動作はないままレリーズできており、安定して撮影できた。
  3. C-AF+TRの追従性が向上している。流し撮りに必要な構図を意識しながらレンズを被写体の動きに合わせて振るという動作に集中することができる。
  4. 純正フォーサーズレンズではいずれの性能向上も顕著に実感でき、スピード的にはマイクロフォーサーズレンズと大きな差はない。
  5. モータースポーツの撮影に関して、オススメAFモードはC-AF+TR
  6. モータースポーツの撮影に関して、純正フォーサーズレンズはSWD仕様であればマイクロフォーサーズレンズ同等のスピードでコスパの良いチョイスになりうる。

ファームウェアVer.2以降では純正フォーサーズレンズは何も気にすることなく使うことができたのは大きかったですね。SWD仕様であればまだまだ使えます。当分はZD ED 50-200mm F2.8-3.5 SWDは手元に残しておくことになりそう(なので、M.ZD ED 40-150mm F2.8は買わずに今後さらに超望遠域をカバーしてくれるズームレンズを期待しています)。

ZD ED 50-200mm F2.8-3.5 SWDは画質もいまだに1級品。十分使えるわけですが、一方のM.ZD ED 300mm F4.0 IS PROはさすがオリンパスマイクロフォーサーズレンズの最高峰。ウデに左右されにくい高速シャッターで止めた撮影では高い解像力を実感できます。


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