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E-M1markII ファームウェアVer.3.1 サーキットAF性能テスト(C-AF)

2019年9月30日

今回は、オリンパスE-M1 MarkIIのファームウェアVer.3.1のAF性能テストを紹介します。前回のファームウェアVer.2.1から比べてどのような変化がみられるでしょうか?

ファームウェアVer.2.1でのAFテストは次の記事をご覧ください。

E-M1markII ファームウェア Ver.3(3.1)について

すでに多くのサイトでVer.3系のアップデート内容について評価されていますが、あらためてAFの項目について整理してみると、

  • AFの性能を向上しました。
  • AF方式にC-AF+MF を追加しました。
  • AFターゲットモードに5×5を追加しました。
  • C-AF中央スタートモードとC-AF中央優先モードを追加しました。

となっていて、動体に対するAF性能の向上が図られています。すでにいくつかのレビューでは、C-AF中央スタートとC-AF中央優先モードによって、オールターゲットやグループターゲットのモードで撮影者の意図した被写体へのAF追従ができるようになったという評価があります。サーキットでこれがどのように効果があるか、確認してみました。

そもそものE-M1markIIのAFのモードや動作については、以前の記事をご覧いただけるとわかりやすいと思います。

テスト方法と機材について

テスト方法

被写体とロケーション、撮影モード

テストは、ツインリンクもてぎで行われたスーパーフォーミュラのマシンを撮影して行いました。V字コーナーを抜けたストレートからヘアピンコーナーに向けてブレーキング、クリッピングポイントに向けて旋回、クリッピングポイントを抜けて加速、という一連のコーナリングシーンをコーナー出口側スタンドから流し撮りしました。

今回はC-AF+TRでの確認です。コーナーの300m程度前からヘルメットを狙ってフォーカス開始し、合焦した瞬間からシャッターボタンを押し込んでレリーズします。連写Lモード(10fps)でバッファメモリがいっぱいになるまで連射し続けました。連写中は、被写体の動きにあわせて構図を整えながらレンズを振り撮影しました。

撮影条件

E-M1 MarkII本体は流し撮りに必要な設定で基本的にRAW撮影しています。

ファームウェア:Ver.3.1

撮影モード:シャッタースピード優先、連写L(10fps)
露出補正:0EV
ISO:200
AFモード:C-AF+TR
AFターゲットモード:5点グループターゲット
AF追従感度:-1
C-AF中央スタート:5点グループターゲットで有効
手ブレ補正:IS-AUTOまたはIS-2(縦ブレのみ補正)
LVブースト:On1
EVFフレームレート:高速
※その他の設定はOFFまたは標準としRAW撮影

撮影画像の確認

画像は以下の条件でRAW現像してJPEG画像で評価しました。

現像条件
下記以外のその他の編集パラメータは設定していません。
Olympus Workspace(バージョン:1.1)
アートフィルター:なし
露出補正:0EV
ホワイトバランス:5300K
仕上がり:Natural
ハイライト&シャドウコントロール:OFF
階調:標準
コントラスト:0
シャープネス:0
彩度:0
収差補正:色収差R/C、B/Yともに0
ノイズフィルタ:OFF
カラー設定:sRGB

機材について

使用レンズ

オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO + MC-14

f/2.2 1/777sec ISO-25 4.15mm

‘19年9月現在、オリンパスのマイクロフォーサーズ専用レンズの中で最も焦点距離が長いレンズです。1.4倍のテレコンバーターMC-14と組み合わせて35mmフィルムカメラ換算で840mm相当。

オリンパスマイクロフォーサーズ用レンズの最高峰だけあって解像力はバツグンですから、これで撮った画像がボヤけている場合、AFが追いつかずにポンボケしているか、いつものように流し撮りに失敗してブレているかのどちらかです(汗)。

テスト結果

撮影した結果をご覧いただく前に…

今回掲載している画像は、1920×1440ピクセルで現像した画像を、4枚×3列につなぎ合わせた画像(最大14MB/枚)にリンクしています。

スマホなどの通信速度や容量に制限があるモバイル環境などでは、画像の閲覧に著しく支障があるかと思われます。固定回線などの速度と容量に余裕のある環境での閲覧をおすすめします。

今回は連写L設定で33枚レリーズし続けることができました。画像サイズ/容量の都合ですが、これを11枚ずつ、3つのフェーズに分けてご覧ください。

ブレーキングでは

ではテスト結果をみてみましょう。まず最初はブレーキングしてターンインし始めるまでの11枚。

f/5.6 1/250sec ISO-200 420mm

あいかわらず今回も手ブレを含んだ写真でわかりにくい部分があることをお詫びします(汗)。ブレーキングで急減速している部分ではレンズの振りが上手く合わせられなかったので、前半数枚は前後方向にもブレてしまいました。そのため、AFターゲットはヘルメットをずっと追従してくれていましたが、ピントは後ろのマツモトキヨシのロゴにあっている感じですね。もちろん、ヘルメットバイザーのヴァンテリンのロゴはちゃんと黄色のロゴに黒の縁取りが見えると思います。

構図的には大きく変化しないので、C-AFでもC-AF+TRでも同じようにフォーカスできる条件ですが、C-AF+TRでは、わずかにヘルメットの位置が動いてもちゃんとターゲットが追従してくれました。以前よりも最初にヘルメットにターゲットが決まる率が高く、C-AF中央スタートが効果的に効いているようです。また、ターゲットに合焦するまでの時間も以前よりも早く感じます。

旋回中は

次にブレーキング後から旋回しはじめるあたりまでをみてみましょう。

f/5.6 1/250sec ISO-200 420mm

ブレで判断できない数枚を除いて、ほぼ全てがヘルメットにフォーカスできました。クリッピングポイントにむかってマシンの角度が変わっていくにともない、構図を整えるためにフレーミングは連続的に変えていますが、それにともなうヘルメットの位置の変化には特に気にする必要がなく、ちゃんとAFターゲットが動いてくれていました。

スーパーフォーミュラ車両SF19に装備されている頭部保護デバイスHALOによるAFへの影響ですが、マイクロフォーサーズの場合は被写界深度が比較的深いため、撮影した写真にヘルメットとHALOでピント位置に大きく差があるようには見えません。

コーナー立ち上がりでは

最後にクリッピングポイントからコーナー出口へ立ち上がるところです。

f/5.6 1/250sec ISO-200 420mm

1枚目がもっともピントがしっかり出ています。それ以降は、マシンの進行方向が右から左へ変わるところでレンズの振り遅れがあるため(最後の2枚は特に振り遅れ)、ブレが目立ちます。しかし、AFターゲットは外れずヘルメットにちゃんとフォーカスし続けてくれていて、レンズのピント方向に大きく位置が変化するヘルメットのカラーリングをちゃんと写し取ってくれています。

まとめ

f/5.6 1/250sec ISO-200 420mm

ファームウェアVer.3.1のC-AF性能をテストしました(上の画像は5184×3888のフル解像の画像にリンクしています)。

  1. AF開始から合焦までのスピードの向上が感じられ、フォーカスまでのタイムラグが軽減されている。
  2. C-AF中央スタートにより、グループターゲットでも最初に中央のAFターゲットをヘルメットに合わせれば、それ以外のターゲットのピントに引きずられずにスムーズにヘルメットにフォーカスできる。これによって一発でヘルメットにフォーカスができた。
  3. C-AF+TRの追従性が向上している。一度ヘルメットにロックオンすれば構図を意識しながらレンズを被写体の動きに合わせて振るという動作に集中することができる。

Ver.2.1よりもさらにAFが洗練され、動体追従性能が格段に良くなりました。最上位機のE-M1Xのアルゴリズムを踏襲したということで、同機の専用機能であるAI被写体認識のようにヘルメットを探すようなことはできないものの、ヘルメットにフォーカスするとしっかり食いついてくれるので、マシンの動きに合わせてレンズを振ることに集中する環境が整ったと言えるでしょうね(ブレないようにもっと練習しないと…)。


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