サーキットガイド 撮影記

2017 SUPER GT Rd.5 Fuji その2 . 構図を変えて富士スピードウェイを撮影する

2018年3月16日


2018年のSuperGTシリーズが先日開幕したとところですが、43Racephotosでは引き続き昨年の富士GT300kmレースの写真となります。後編の今回はGT300クラスの写真を。

被写体以外の撮影条件については、前回のGT500クラスの記録をご覧ください。

撮影ポイントは同じでも撮れる写真がGT500と違う件

GT300も撮影はGT500と同じタイミングで撮影しているので、土曜の朝一番のフリー走行から日曜の決勝ゴールまでは同じ。撮影ポイントはこんな感じになってます。マップ上のサムネイルをクリックすれば拡大して写真をご覧いただけます。

撮影ポイントと使用するレンズが決まると、そこで撮れる写真のバリエーションがいくつか思い浮かぶので試してみるわけですが(要はバリエーションが決まってくる)、対して被写体の方はそのレースにおける相性や調子、ウエイトハンデによってコースに対するアプローチ(走行ライン、加減速ポイント)が変わり、これがGT300とGT500でそれぞれ変わるのでマシンとできあがった写真の構図に偏りが出たりするように感じることがあります。

これは私のウデが未熟だからだとは思うのですが、特に今回はGT300がGT500とで構図に違いが出たので(GT300で撮れてGT500で撮れなかった構図がでた)、その点も前回の写真と比べていただければと思います。

GT300写真17枚+α

今回も掲載の時系列は順不同、画像キャプション部分にカメラの撮影条件を記載しています。撮影条件はE-M1markIIとフォーサーズレンズを使用した場合のものです。

f/7 1/400sec ISO-800 400mm

GT300といっておきながらのエアレースチャンピオン、室屋義秀選手のデモフライトから。決勝レース直前はこんな感じで青空の広がる快晴でしたが8月にしてはかなり涼しくて夏の撮影としては過去最高の快適さでした。レクサスロゴの描かれたデモ機はシルバーの機体と主翼のプリズムカラーペイントが特徴ですがそこまでは写しきれず。

f/18 1/20sec ISO-64 294mm

前回のGT500編と同じくレクサスコーナーでまずは同じような構図からスタート。

埼玉トヨペットGreenBrave マークX MC をスローシャッターで。
ほぼフロントグリル周辺に流し撮りの芯をだせています。箱車の流し撮りはフロントグリルに狙って芯がだせると何よりも自己満足度が高いですね。

f/14 1/60sec ISO-64 294mm

B-MAX NDDP GTR。こちらはもう少しシャッタースピードを上げてマシンのディティールが写るように。これくらいがレース写真を撮らない方にもわかってもらえる、万人受けする写りかなと思います。

f/13 1/60sec ISO-64 294mm

今度は横構図にしてSYNTIUM LM corsa RC F GT3を。
上の2枚と合わせて土曜日フリー走行での撮影でしたが、ときおり曇ったり晴れたりといった時間帯がありました。ちょうど曇りから晴れに変わるタイミングでマシンに日が差した瞬間、ボリューム感のあるRCF GT3の右フロントフェンダーからボンネットにかけての抑揚が強調されました。今回お気に入りの一枚。

f/18 1/15sec ISO-64 400mm

アドバンコーナーにアプローチするGULF NAC PORSCHE911。前景のランオフエリアとコース、背景のガードレールをスローシャッターで流して画面を斜めに分割して動きを作ったところにマシンを配置しています。全体的に低彩度の背景とガルフカラーのコントラストも被写体を際立たせています。

f/6.8 1/400sec ISO-1600 294mm

決勝レース前のレコノサンスラップに登場したARTAの2台。同一チームがGT500と300で両方エントリーすること自体がARTAぐらいなので、WポールもW優勝もARTAしかできない快挙なのですが、2013年にも成し遂げているからホントすごいチームです。
コカコーラコーナーに入ったM6には日が差していて、後ろのNSXは曇っているので、ボケと明暗で遠近感が強調されました。

f/7 1/250sec ISO-800 400mm

決勝レース終盤のFerrari 488 GT3とエヴァRT初号機 Rn-s AMG GTはダンロップコーナーの攻防。GTで1/250sというシャッタースピードは絶妙で、こういう低速コーナーだとメインの被写体はちゃんと止めてアスファルトのザラザラ感もちゃんと写しつつもバックのエヴァのブレがちゃんと動きを与えてくれています。マイクロフォーサーズなのでこの程度ではボケ味ではなくブレです。

f/8 1/25sec ISO-64 400mm

こちらもダンロップコーナー進入のEIcars BENTLEY GT3。今回のアイキャッチ画像はコレ。

ハコ車らしい迫力のあるフロントグリルを中心にまわりをブラしたスローシャッターがキマりました。

f/10 1/125sec ISO-64 400mm

レクサスコーナーから最終パナソニックコーナーへむかうLEON CVSTOS AMG。

レクサスコーナー周辺はランオフエリアが狭いためにコースとオフィシャルの間、観戦エリアとの間の二重で金網が設置されているのですが、このポイントだけはオフィシャルや作業車の出入のために金網が一枚で壁の切れ間もあって撮りやすい場所です。富士に行った方ならご存知な方もおおいと思います。定番の構図として大砲レンズの作例をよくみかけますが、ボケ味が得られにくいマイクロフォーサーズでも撮りようはあります。

望遠端で絞りは開いてなるべくボケるようにした上で、1/125sというマシンを止めるには比較的長めのシャッター速度でわずかに背景のブレを加えています。AMG GTの場合はサイド排気なので排気熱による陽炎がみえますが、お陰でテールに合わせたAF-Cが迷わずにマシンをキッチリ止めていますね。

f/20 1/10sec ISO-64 138mm

こちらはシンティアム・アップル・ロータスがダンロップコーナーから13コーナーへむかうところを13コーナー側から離れた通路から撮影。撮影ポイントからマシンまでの間はP16駐車場でトランポやチーム関係車両が駐車されているのを前景にしてスローシャッターで流してみました。

138mmということは、Wズームキットなどに付属する一番安い望遠レンズ150〜200mmの焦点距離の範囲ですから、構図の工夫でスピード感ある一枚が撮れることがわかると思います。

f/7 1/100sec ISO-200 400mm

こちらは同じダンロップ立ち上がりのフェラーリですが、逆に思い切って寄ってみたパターン。

ダンロップコーナーは低速のシケイン状で観戦エリアは高い土手からコースを見下ろす場所なので富士では1番マシンに寄れるコーナー。ここでめいいっぱい寄ればこういう写真になります。画面いっぱいに被写体を置く場合は高速シャッターでOKな場合が多いですが、ここではタイヤの回転でスピード感を出したいので1/100sでホイールやタイヤサイドのマーキングをブラしています。

f/7.1 1/2000sec ISO-1600 400mm

トヨペット100Rコーナーを出てきた911。アドバンコーナー側から100Rをみると、高低差の影響で100Rから出てきたマシンの真正面を撮ることができます。ただしかなり距離があるので、400mmでこの大きさになってしまいます。

このポイントでは前を遮る金網は入りませんが、スタンドを下りていって金網前で同じアングルを撮れば、ヘッドライトの光が十字の光条となっていいかもしれません。

f/8 1/125sec ISO-200 202mm

13コーナーをでてきたGAINER TANAX AMG GT3。ここもオフィシャルの出入のために金網が一枚となるポイントです。

オフィシャルの方を前景になるよう試してみましたがボケ味が足りないですね。画角を整えるのに半端な焦点距離にズームしていますが、絞りは開放した状態です。

f/7 1/250sec ISO-800 400mm

ダンロップコーナーに戻ってTOYOTA PRIUS apr GTのランデブー。前GREEN TEC、後カローラ三重で若干カラーリングが異なるのがポイント。

昨今のSuperGTで1番レギュレーションの自由度が高いJAF GTは、市販車と同じ顔に、大きく張り出したフェンダーと巨大なリアウイングのコントラストが楽しめる前からの撮影がオススメです。

f/7 1/160sec ISO-1600 400mm

アドバンコーナー旋回中のVivaC 86 MCは、前後を走るマシンの位置関係とブレ、アスファルトのブラックマークが描く弧を斜め構図に配置することで、タイヤが見えなくても走行しているスピード感を表現できているかと思います。Vivacのテールにちゃんとフォーカスが合っているのもポイント。

f/7 1/200sec ISO-200 400mm

LEONとエヴァのAMG GT対決。ダンロップコーナーは決して幅広くはないので並びかけてエヴァのミラーに写ろうとするLEONの様子がちょうどいい構図になりました。

f/7 1/80sec ISO-800 400mm

アドバンコーナーでのショップチャンネル ランボルギーニ GT3。

さきほどのVivac86よりもスローシャッターで動きの芯はマシンのテールに合わせました。いずれの場合もE-M1markIIの、離れる被写体に対するAF追従性の良さに助けられています。

f/5.6 1/640sec ISO-800 100mm

最後にもう一枚室屋選手のデモを。ホームストレートを低空飛行で抜けていく様子をグランドスタンド脇から撮影できたので、ほぼ真横のアングルです。エアレース本番だとこのアングルはまずないのでおトクでした。土曜日から撮影できるとこういったデモンストレーションもリハーサルからみれるので撮影ポイントを選ぶ余裕ができていいですね。

いかがだったでしょうか。今回はGT300マシンをご覧いただきました。

同じ撮影ポイントでも狙う画角(画面にどれくらいの大きさですマシンを配置するか)やマシンの向きを変えたりすることで構図にバリエーションがだせることが分かったと思いますが、これらは撮影ポイントを変えずに違うコーナーを狙ったりするだけでも可能です。みなさんもぜひサーキットでチャレンジしてみてください。

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