スーパー耐久 2016 Rd.1 もてぎ(その2:E-M1で流し撮りは変わるのか)

  公開日/最終更新日 2017/01/30

Olympus E-M1 Mini Review

2017年1月30日追記

オリンパスミラーレスのフラッグシップ機がE-M1 MarkIIへと更新されました。
43RacePhotosでは、E-M1 MarkIIの実写レビューを行いましたので、そちらもご覧ください。

その1で紹介しきれなかった写真がありますので、その2としてご紹介。せっかくなので、いまさらながらのオリンパス E-M1ミニレビューです。ミラーレスでレース写真を撮る、流し撮りをするという観点ではそれほどレビューは多くないので、安くなったE-M1を見て買おうかどうか迷っている方の参考になれば。

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ミラーレスカメラの進化で流し撮りは変わるのか?

ミラーレスで流し撮りをすることの難しさ

流し撮りを決めるのって、ホントに難しいです。ミラーレスとなればなおさら。オリンパスのミラーレスに限らず、レース写真をミラーレスで撮るときにハードルになってるなと感じるのが次の3つ。

EVFの遅延

写真撮影の基本はファインダーで被写体と向き合うことだと思いますが、高速に移動する被写体と向き合うには見やすいファインダーが必要です。一般的な一眼レフの光学式ファインダーに比べて電子式ファインダーは表示の遅れがどうしても出てしまいます。そもそも背面液晶のみでファインダーがないミラーレスカメラの方が多いですよね。

コントラストAFのスピードと精度

ほとんどのミラーレス一眼では、撮像センサーに写った画像のコントラストでオートフォーカスするコントラストAFを採用していますが、これがやっぱり速いマシンの動きについてくるのが難しい。EVFの遅延とあわせて、被写体の撮りたい部分に撮りたいタイミングでピントが合ってくれない、ということになってしまいがちです。

レンズの選択肢の少なさ

一眼レフに比べてコンパクトなのがウリのミラーレスカメラですが、そのせいもあって、そんなに望遠レンズのラインナップは多くありません。比較的手ごろな価格帯(¥100,000以下)で見ると、ダブルレンズキットなどの名前で本体に付いてくる40-150mmまたは200mmクラスの望遠ズームやオールマイティな14-150mmといった高倍率ズームがほとんどで、最も長いのが75-300mm台の長望遠ズームといったところ。サーキットなら200mm以上はほしい。それと、やっぱりAFの動作が速いレンズが欲しくなるわけですが、全部が全部速いわけではありません。一方の一眼レフも同じ価格帯ではミラーレスのレンズ性能と大差ないですが、一眼レフの場合はもう少しお金を出すとシグマやトキナーといったサードパーティー製レンズで300mmオーバーの超望遠レンズが買えたりするのが羨ましいところ。

結局のところ、モータースポーツ撮影で必要な、高速に移動するマシンを、速く、正確に、大写しできるカメラシステムという点ではミラーレスはちょっと荷が重いというのが大半の見方ではないでしょうか?

SuperTaikyu 2016 Rd.1 Motegi

400mm, F7.1, 1/400s

E-M5でやった工夫

そんなハンディだらけだったものの、オリンパスからE-M5が出てミラーレスカメラなりにいろいろと試行錯誤してはや3年…。

EVFの使い方

E-M5のEVFは慣れればかなり使いやすかったです。そもそも、一眼レフ時代のフォーサーズのファインダーは小さくてピントの確認がしにくかったですが、ミラーレス化でEVFとなり画面が大きくて見やすいというのがあります。遅延対策の設定としてEVF表示リフレッシュレート最速、撮影後自動プレビューなし、に行きつきました。まずは撮ることに集中して、ひと段落したところで別途確認。それと、右目でEVFをのぞきながら左目は被写体を目視できるように練習しました。EVFに頼らずにマシンを追いかけるわけです。たぶん基本の動作なんでしょうけど、慣れないとなかなかできない。

AFは使わずMF置きピンで

1/250秒以下の高速シャッターで撮る場合は、コントラストAFでもまあまあの精度が出ますが、やっぱりスローシャッターが切りたい。シャッターが開いている間もマシンをとらえ続けようとするとEVFとあいまってどうしても構図とピントがズレる。いろいろ試した結果、マニュアルフォーカス(MF)で置きピンが一番よかったというか、レース写真は置きピンをまず覚えるべきなのだと教わったという感じ。置きピンについてはまたあらためて記事にしたいと思います。

MFでレンズの選択肢を増やす

置きピンできれば、オールドレンズから他社製レンズまで、マイクロフォーサーズはアダプターが豊富なのでいろいろレンズが使えます。私の場合は、それまで使っていたフォーサーズレンズZuikoDigital 50-200mm/ F3.5-5.6とテレコンEC-14、EC-20。

ミラーレスカメラの特徴のひとつであるEVFについては、他のメーカーに比べてオリンパスに一日の長があると思います。ピント合わせやコントラストのわかりやすいEVFのメリットを生かす方向で置きピンに慣れた結果、マイクロフォーサーズのマウントに縛られずにレンズの選択肢を広げることができました。

SuperTaikyu 2016 Rd.1 Motegi

70mm, F5.0, 1/60s

E-M1に期待したこと

E-M5からE-M1へステップアップするにあたって期待するのは、やはり機能面の向上です。

EVFの性能向上

E-M5でも十分に見やすいと思っていましたが、E-M5に比べて大画面、遅延が小さくなるなどでより自然な見え方になれば流し撮りの成功率も上がればなぁと思って。

像面位相差AF

多くのフォーサーズユーザーがミラーレスE-M1に移行する決心をさせたのが、マイクロフォーサーズ機として唯一搭載された像面位相差AFです。一眼レフと同様のAFセンサー(位相差AF)によってより速くて正確なAFができるということです。

フォーサーズレンズのサポート

像面位相差AFの搭載で、フォーサーズレンズでそれまでと同様のAF動作ができるようになります。それまで置きピンで構図優先の写真に加えて、アクシデントや競り合いなどのレース特有のシャッターチャンスに対応できる可能性が高まります。

5軸手振れ補正

手ぶれ補正にIS-AUTOが加わりました。他社一眼レフ用レンズ(キヤノンやニコンはレンズ内蔵型の手ぶれ補正機構)では、流し撮りの時にレンズを振ったことを検知して流し方向の補正をキャンセルするというAUTOモードを結構前から搭載していましたが、オリンパスは同じミラーレスのPEN E-P5から搭載しました。業界随一の性能の5軸手ぶれ補正が流し撮りでようやく使えます。

レースで使ってみた結果

今回、スーパー耐久の開幕戦でじっくり使ってみて、いろいろ期待していた点に対する結果をまとめました。

EVFは慣れ?

すでにEVFには慣れたせいもあって大きくて見やすくなった部分が印象に残りました。表示の遅延もスーパー耐久のマシンのスピード(レース平均時速200km/h以上)では気になることはありませんでした。

一眼レフユーザーの友人に初めてEVFを試してもらったところでは、一眼レフの光学式ファインダーからはいまだに違和感はある、ということで結局は慣れの問題なんだろうなと思います。

センサーサイズが小さくてファインダーの大きさ、視野率が小さくなりがちなマイクロフォーサーズにとっては、EVFは大事なデバイスですから、さらに性能アップに期待したいですね。

AFは十分使える性能

像面位相差AFになって、フォーサーズレンズはかなり実用的になりました。ようやくAFでレース撮れるというかんじ(汗)。

惜しいことに一眼レフ機(フォーサーズE-3、E-5)で使用していた時のAF速度にまでは戻っておらず、ワンテンポ遅いように感じます。まぁ、E-3、E-5と超音波モーター(SWD)搭載レンズのAF速度は他社のフラッグシップ機に肩を並べる程の速さでと比べてのワンテンポなので、これしか知らなかったら十分実用的に感じるはずです。

これで置きピン構図から解放されてレース中のオーバーテイクシーンなどへの対応がしやすくなりました。久しぶりにコーナーにサイドバイサイドで飛び込んでくるマシンをとれました。

SuperTaikyu 2016 Rd.1 Motegi

400mm, F11, 1/80s

SuperTaikyu 2016 Rd.1 Motegi

102mm, F4.5, 1/80s

フォーサーズレンズとの組み合わせ

E-M1およびE-M5に対して、オリンパスZuikoDigitalレンズ(ZD)、MicorZuikoDigitalレンズ(MZD)を組み合わせて撮影してみました。レンズごとにAF速度を比較すれば、

レフ機(E-3)+ZD(SWD) > E-M1+MZD > E-M1+ZD > E-M5+MZD >>> E-M5+ZD

というかんじ。

先ほどはワンテンポ遅いと表現しましたが、この遅れはAF設定にもよるようなので今後セッティングを煮詰めたいところ。AFがちゃんとしてくれるおかげで、ZD50-200mmにテレコン2倍でしっかり寄ってダイナミックな構図にチャレンジできるようになりました。

SuperTaikyu 2016 Rd.1 Motegi

400mm, F18, 1/60s

手振れ補正よりも大事なこと

IS-AUTOは効いているようなのですが使いこなせていません。流れてほしくない方向のブレは見事におさえてくれましたが、流し方向は当然ながら手ぶれ補正がキャンセルされブレがでるわけです。

何が言いたいかというと、私の場合は流し撮りの失敗の原因が手ぶれではなく正確にマシンの動きにあわせてレンズを振れていないことにあるようです。まだまだ修行が足りないようです。

SuperTaikyu 2016 Rd.1 Motegi

400mm, F7.0, 1/30s

期待していなかった新機能の中でよかったのはGPS(スマホ連携)です。カメラ自体にはGPSユニットは搭載されていませんが、撮影後にスマホのアプリと連携してスマホの位置情報を画像データに添付できるは便利ですね。コースサイドのどこでどんな構図がとれるかは意外と忘れがちですし。

私はInstagramなどのSNSにレース写真をアップする際は、みてくれる方の参考になるように位置情報をシェアしたいと思っているのでありがたい機能です。

70mm, F5.6, 1/125s

70mm, F5.6, 1/125s

まとめ ~E-M1で変わったこと、変わらなかったこと~

モータースポーツ撮影で必要な、高速に移動するマシンを、速く、正確に、大写しできるカメラシステムという点において、まだハードルのあるミラーレスカメラ。

これにたいして、ピント合わせやコントラストのわかりやすいEVFのメリットを生かして置きピンで撮影したり、それによってレンズの選択肢を増やすことでマイクロフォーサーズによるレース写真撮影の可能性を探ってきました。

E-M1登場時から高く評価されてきた像面位相差AF搭載によるフォーサーズレンズのAFは、レースシーンでも十分実用的でそれまでの置きピン構図から解放されてレース中のオーバーテイクシーンなどへの対応がしやすくなり、しっかり寄ってダイナミックな構図にチャレンジできるようになりました。

一方で、高度な手ぶれ補正に頼ろうとしても、流し撮りの失敗の原因が手ぶれではなく正確にマシンの動きにあわせてレンズを振れていないことにあるので、その点は使い手次第というのは機種によらず大事なことでしょう。

結局は、レース写真撮影においては、E-M1になってようやく一眼レフレベルの性能に並んだといえるわけで、ここからはEVFの見えやすさやミラーレスのコンパクトさを生かして、一眼レフでは撮れないようなロケーションや構図にチャレンジしなくちゃ、ということが言えると思います。

E-M1のミニレビュー、いかがだったでしょうか。

いまさらのE-M1導入ですが、まだまだセッティングが煮詰めていないところや使いきれていない機能もあるので今後も解説記事が書ければと思っています。今年の秋にもMarkIIが発表されると噂されていたE-M1ですが、熊本の震災の影響で発売が来年となりそうという情報も聞こえてきましたから、まだまだE-M1は現役です。一方でフラッグシップ機が本体¥100,000を切る相場で十分に底値といっていいでしょうから、今が買い時なのかもしれません。

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