タイムでは競わないモータースポーツ(2017FIMトライアル世界選手権もてぎ)

  公開日/最終更新日 2018/04/01

5/27、/28にツインリンクもてぎで行われたFIMトライアル世界選手権の日本ラウンドを観戦してきました。普段はロードコースで4輪を撮影することがほとんどですが、オフロードで2輪、しかもタイム競技ではないモータースポーツカテゴリーに挑戦しました。競技の特徴と撮影のヒントについてご紹介します。

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トライアルとは

f/4.5 1/60sec ISO-64 200mm

基本は「いかに足を着かずに障害物を乗り越えられるか」

トライアルという競技をご存じでない方は多いと思います。

簡単に説明すると、滝や丸太、岩や崖などの障害物を通るコースを作り(これをセクション呼ぶ)、そこをバイクでどれだけミスなく走れるかを競う採点競技です。

ミスというのは、要するにバイクを止めて足を地面に着いてしまうことです。足を1回着くと減点1、2回着くと減点2、3回着くと減点3となり、最大5減点でそのセクションは失敗という扱いになります。要するに減点競技なんですね。ちなみにノーミスだった場合、そのセクションをクリーンで通過した、などといいます。

複数のセクションを1順することを1ラップとし、1日2ラップを2日間行い、各日に減点が少ない順に順位を決め、その順位にシリーズポイントが加算される仕組みです。 もてぎの場合、1~3分程度かかるセクションが15セクションあり、セクション間の移動も含めておおよそ2~3時間かかって1ラップです。

無駄をそぎ落としてハンドリングを追求したマシン

マシンは、オフロード競技で代表的なモトクロス/BMXに似ていますが、ライダーのハンドリングが第一なのでとにかく軽量化を突き詰めた形です。

例えば、走行距離は短いのでガソリンタンクは2リットルもありませんし、スタンディングでバランスをとるのでシートもありません。崖を駆け上がるためにタイヤも専用のものを履いてエア圧も低めにセッティングされます。

ホンダが競技用に市販しているRTL260Fというマシンでこんな感じ。

実際の競技の様子をご覧ください。iPhoneのカメラで撮影したのでギャラリーの雰囲気も含めてみていただければ。

マシンやテクニックがモトクロス/BMXに似ていて、ジャンルとしてはいわゆるX系のスポーツですが、競技自体はなかなか渋いものです。

精神集中してセクションに挑む選手をギャラリーがじっと見つめる、一筆書きのようにマシンはセクションを駆け上げり、その空間にこだまするのは実況アナの声とエンジン音…。まるで居合道を見るようで、日本人のメンタリティに合う競技ではないかと思います。

もちろん、この競技には長年ホンダワークスで活躍する2004年チャンプの藤波貴久選手のほか、全日本選手権で活躍している選手がスポット参戦する形で毎回出場しています。

トライアル観戦と撮影のヒント

f/6.3 1/60sec ISO-64 70mm

もてぎの広大なアウトドアフィールドが舞台

サーキットと呼ばれる施設の常として、それを造成するための土地と騒音問題などへの配慮からほとんどのサーキットは山奥にありますが、ツインリンクもてぎはそういったロケーションを活かしてキャンプ場やハイキングコースを用意した「ハローウッズ」という施設をサーキットに併設して運営しています。

トライアルの期間はこのハローウッズ内にセクションを用意して競技を行います。

観戦には決まった席はなく基本は立ち見。ゴルフの観戦と同じように、特定の選手について各セクションをまわったり、逆にセクションを決めて定点観測したりと自由度が高いです。

いろいろな客層に配慮したふるまいが大切

観戦してみるとその客層の豊かさに気づくのですが、トライアルをメインに特定の選手を応援に来ているファン以外に、林道ツーリングや登山を趣味としている「山系」の方やモトクロス/BMXを趣味にしている「X系」の方、普段はロード競技を見るモタスポ系のファン、さらに大会スポンサーであるストライダー(幼児向けキックバイク)の競技会に参加する子供たち(毎年トライアルと併催でちびっ子たちのレースが行われる)とその家族が加わり、1箇所にかなりの人だかりができます。

これだけ客層が広いとそれぞれの観戦スタイルが異なるのは当然で、観戦マナーの類もまちまちです。アマチュアフォトグラファーは十分気をつけないといけません。

サーキットだと一般客が観戦するエリアとフォトグラファーの撮影ポイントが異なる場合が多いので、カメラを構えればまわりも同じフォトグラファーですから見切れないようにお互い気を利かせ合う場合があると思います。

でも、トライアルでは見やすい場所と撮りやすい場所にあまり差はなくて混ざる場合がほとんどで、フォトグラファーに気づいてくれる人の方が少ないですし、構えた真ん前で立ち止まられることもあります。もちろん同じチケットを買っている立場なので決められたエリア内は自由に見れますし、文句は言えません。

反対に、ギャラリーの人混みの中を望遠レンズやカメラバックを持ち歩くときは、振り回して小さな子どもたちにぶつけてケガをさせないように注意しないといけません。

セクションと選手(の人気)によって被写体までの距離は変わる

そういった事情もあり、トライアルの撮影では先に撮りたい構図などのイメージがあってもそのことにあまりとらわれずに、確保できたスペースで撮ることができるベストな構図を都度考えるようにした方がストレスもなく前向きに取り組めるでしょう。

f/8 1/60sec ISO-64 147mm

トライアルにはトップカテゴリーのTRIALGPと下位のTRIAL2、育成カテゴリーのTRIAL125の3つのクラスがセクションを回っていますが、当然TRIALGPクラスのトップ選手たちについてまわっているギャラリーの数が1番多いですし、山奥に設定されたセクションよりも中央エントランスに近いセクションの方が女性や子供のお客さんの数が多くなります。

下位の選手には比較的寄ることができるでしょうし、トップの選手を撮るには望遠レンズでも目の前のギャラリーが被らないように狙わないといけません。

このような場合、焦点距離の異なるレンズをつけた複数のカメラを持つか、高倍率のズームレンズで最適な焦点距離を選べるようにしておきたいですね。

また、セクションによっては岩場を駆け上がる様子を下から見上げて撮る場合とすり鉢状の斜面の縁から被写体を見下ろして撮る場合があるのでカメラは原則手持ちとなります。よほどの大砲レンズでなければ一脚は使わないでしょう。

f/9 1/60sec ISO-64 147mm

撮影テクニック自体は特別な技術が必要なわけではなく、サーキットでの流し撮りと同じです。

というのも、全ての選手はセクションの構成とコンディションを見てどこを通ってクリアしていくか考えるわけですが大体1、2通りのラインに決まってくるため、彼らがどう動くかはおおよそ把握でき、それに合わせてAFやシャッタースピードの設定をしたり、カメラを振ることができる点でサーキットでの撮影と同じだからです。

使用機材の考え方

以上をふまえての機材選びとなりますが、私はいつもの組み合わせとなるE-M1markIIに縦グリ(HLD-7)、ZD50-200mm F2.8-3.5SWDです。ほんとにオールマイティな組み合わせですよこれは。

レンズ選びについて補足すると、フォーサーズで100mmでは近すぎる状況もあれば、200mmでも足りないくらい遠くに被写体がいる場合もあるので、ZD50-200mmにテレコンEC-14を合わせました。これでも焦点距離が足りない場合はデジタルテレコンを使えばいいでしょう。

AF設定はファインダー内を被写体が奥行き方向に移動する場合はAF-C+TRで追いまがら連写Lでピントを維持させながら撮影、ファインダー内を横移動するだけの場合は動き出す瞬間をAF-Sと連写Hで当たりを狙う設定としました。

では、トライアルの迫力を写真で

ここまでエラそーにゴタクを並べましたが、今回ほとんどセクションを回ることができず、TRIALGPクラスの選手がほとんど撮影できていません(汗)。

大会スポンサーであるストライダーのイベント(レースやクリニック)が同時に催されていたのですが、まさに3歳の私の息子がストライダーでよく遊んでいまして家族で出かけたところストライダーと遊園地に夢中でなかなかセクションの方に行かせてもらえず…。

ヨメも結構トライアルを見るのが好きなので、自分だけセクションに向かうとは言いだせず…(汗)。 そんなわけで今回はハローウッズ入口周辺のセクション1、2と最終のセクション15でのみ撮影です。

f/3.5 1/60sec ISO-64 200mm

冒頭の動画の位置から200mmで撮影したものをトリミングしています。ライダーはTRIAL2クラスの#240斎藤晶夫選手(HONDA)。前日の雨でドロドロのコンディションですが見てる方はこれくらいが面白い。

f/9 1/30sec ISO-64 283mm

TRIAL2クラスの#238柴田暁選手(VERTIGO)。素人からすると思わずカワサキ?と思ってしまうカラーリング。

f/4.5 1/60sec ISO-64 97mm

TRIAL125クラスの#303カーナー・ホーガン(SHERCO)はオーストラリアの選手。TRIAL125クラスが一番下のカテゴリーですが14歳から18歳の若い選手が125cc以下のエンジンのマシンで参加する育成カテゴリー。日本からも3選手が参戦。

f/8 1/60sec ISO-64 283mm

TRIAL2クラスの#244小川毅士(BETA)。

f/3.5 1/80sec ISO-64 200mm

TRIALGPクラスの#47ジェロニ・ファハルド(VERTIGO)はスペインの選手。トライアルの世界は選手権10連覇チャンプのトニー・ボウ選手をはじめ、スペイン人選手が強いですね。

こういったジャンプのシーンも場所やタイミングはどの選手も大体同じですから、MF置きピンと連写でおさめることも十分可能です。

f/8 1/30sec ISO-64 283mm

#238柴田暁選手の背後から。私がトライアルを撮っていて1番好きなアングルがこれで、タイヤが大地を踏みしめ、蹴り出した瞬間の力強さに魅力を感じています。

f/8 1/80sec ISO-200 283mm

TRIALGPクラスにスポット参戦の#98黒山健一選手(YAMAHA)。11回の全日本タイトルホルダーは2006年からヤマハのファクトリーライダー。 BMXよろしく、ライダーの荷重移動とスロットル操作によって絶妙なマシンコントロールの末にカモシカのように跳ね、駆け上がっていく様子は一度は生で見ていただきたいです。

f/9 1/80sec ISO-200 283mm

日本人で唯一世界選手権に参戦し、2004年には世界チャンプにもなっているTRIALGPクラス#3藤波貴久(REPSOL HONDA/MONTESA)は、ホンダのファンであれば名前を聞いたことがあるのでは?今回は惜しくもDAY1:3位、DAY2:5位と振るわず…。

サーキットメインで撮影される方もぜひ

いかがだったでしょうか?サーキットで写真撮影をはじめるとオンロードの競技にばかり目が行きがちですが、オフロード競技もなかなか面白いですよ。もてぎの他にSUGOもモトクロスのコースを運営してたりするので興味を持たれた方は一度挑戦してみてはいかがでしょうか。きっとオンロードレースの撮影にも新しいヒントを得ることできると思いますよ。

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