HOWTO 撮影記

レッドブルエアレース 撮影のための観戦エリアの選び方(RedBull AirRace Chiba 2017)

2017年7月16日

今年もRedbull AirRaceを観戦してきました。日本での開催は今年で3回目となるエアレース。今回は観戦の準備と観戦エリアの選び方を紹介します。観戦エリアについては過去2回の撮影エリアと今回撮影したカメラマンエリアについて評価しました。

Redbull AirRaceについておさらい

Redbull Air Raceについては、昨年も記事にしていますが、ざっくり説明するとレース専用飛行機によるタイムレースです。パイロン(エアゲート)で構成された空中コースを1機ずつ周回してその飛行タイムを競うものです。

2017シーズンのAir Race

昨年、幕張の地でシリーズ初優勝を遂げた唯一の日本人、室屋 義秀 選手でしたが、その後は表彰台にのぼることができずあと一歩といった成績の2016シーズンでした。

しかしながらマシンの熟成がすすみ、2017シーズンは初戦のアブダビこそオーバーGでDNFだったものの、第2戦サンディエゴでは圧倒的なスピードで優勝し、この時点で室屋選手は総合3位という昨年以上の上り調子で日本に帰ってきたという状況でした。

エアレース観戦で準備した方がいいもの、準備しなくていいもの

日差しが強く風も強い、足元は砂浜で安定しない…

エアレースは当然屋外のイベントです。今年の会場も千葉県の海浜幕張公園でした。海の上を飛ぶ飛行機を砂浜で眺めるわけですから、観戦する私たちも海の天候の影響を受けますし、砂浜なので普段は何もありません。観戦の準備として衣食住知っておくべきことがあります。

風/雨/日差しをしのげる長袖があった方がいい

昨年は前日から荒れて土曜日の予選は強風でキャンセル、決勝もマスタークラスのRound of 14の途中までは風が強くて肌寒いくらいでした。

今年は金曜日のプラクティスが強風であまり飛ばなかったものの、土日までは影響せず快晴。気温も初開催の一昨年前のような時期外れの猛暑ではなく、潮風が心地よいベストコンディションでした。

この時期(6月上旬)というのは、まだ5月の陽気が続いている年もあれば、早々に梅雨入りし始める年もあって不安定ですし、また、天気に関係なく風が強かったり、海だけは荒れ模様だったりと難しい環境ですね。実際、日本国内のモータースポーツのトップカテゴリーは6月中はレースがありませんし(S耐久くらい?)。

ですので、ポンチョだったりウインドブレーカーみたいな風雨をしのげる薄い上着は1着用意しておいた方がいいでしょう。晴れたら晴れたらで、女性は風よけだけでなく日焼け防止の観点からも長袖を用意しておいて損はないはず。その点で帽子もマストでしょう。会場の物販でオリジナルキャップを買うもよし。

飲食物に持ち込み制限あり、充実してきたフード・物販ショップでカバーする

今年も飲食物の持ち込みはNGの案内がされていました。認められるのは飲み物600mlペットボトル1本、子供向けの菓子類(会場内の食品が食べられない幼児向けと思われます)くらい。

衛生面での事故防止だったり、食べカス/ゴミのポイ捨て防止みたいなもっともらしい理由がPRされているわけではないので、会場内の出店の売上狙いだと勝手に解釈してますが、これ、持ち込みOKにすると観戦エリアの浜辺でBBQやりだすお客さんが出てくるのかもしれないですね。年々広がる客層みてるとそんな気がします…。

その出店は年々充実してきていますね。最近流行りのフードフェスよろしく全国各地のB級グルメが出店してましたし、今年からは吉野家とドミノピザも出てきてお値段的にも幅が広がったと思います。なので、これらに関する行列は他の一般的なイベントと同じ程度の混み具合ですし、人気店はそれなりに、お昼のピークはどこの店もそれなりに並ぶ感じです。

ドリンクは例年どおり、レッドブルはずべての容量が市価同等で買えますし、アルコール、水も特別高くはないです。また、昨年から各エリアをクーラーボックスを担いだ売り子さんが歩いてレッドブルを売っているのでショップのあるエリアまでいく必要はなくなりました。

物販に関しては、こちらも例年どおりレッドブルエアレースのオフィシャルグッズのショップがあり、公式サイトで販売されているもの以外に千葉戦限定のキャップ、タオルなどのほか、室屋選手の機体のミニチュアが販売されていて、例年、その年の室屋機のカラーリングで販売されています。

初めて観戦に来た方には、会場物販でオリジナルレジャーシートの購入をオススメします。エリア内は場所取り行為は禁止されていませんが、原則としてオリジナルレジャーシートの使用のみが認められています。このレジャーシートは今年もデザインに変更ないので、一度買っておけば、今後も使いまわしできます。

というわけで、持ち込み品の制限は600mlのペットボトルのみ、場所取りはオリジナルレジャーシートでのみ可能、と覚えておけばよいでしょう。これらは入場時に簡単な荷物チェックがされますが、例えばクーラーボックスにビールやBBQの食材を入れてきたり日よけのテントを担いでいたりするような、必要以上に場所をとって他の観客に迷惑をかけるような様子がなければ簡単にスルーできます。

エアレース観戦/撮影で重要な観戦エリア

今年で3回目となる観戦ですが、毎年どのエリアのチケットを買うべきかは悩ましいところです。どこで撮影するかということは一番大事なことにもかかわらず、3月のチケット発売開始時点にはどこをどう飛ぶかわからないままエリアを選ばないといけないからです(レーストラックはイベント開催の直前に公表されています)。

観戦エリアの絞り込み方と過去2回の結果

チケット発売開始と同時に観戦エリアのレイアウトが公表されています。毎年いくらかのレイアウトとエリア名称の変更があり、3回目の今年は、南東の検見川浜側からスタート・ゴールエリア、カメラマンエリア、クラブラウンジ、スカイラウンジ、室屋応援シート、デラックスシートエリア、一般エリア、ファミリーエリアです。

観戦エリアを選ぶのに、最初に選択肢から外れるのは、スカイラウンジとクラブラウンジですね(笑)。F1でいうところのパドッククラブと同じですから、一般客よりも選手やチーム関係者とスポンサー関係者が利用することがほとんどで、チケット販売開始すると一番最初に売り切れるのは1番高額なこのエリアだったりします。

次に選択肢から外れるのがファミリーエリア。チケットが最も安いですが、他のエリアとはメインアクセス駅となる海浜幕張駅からの動線が全く異なり、ショップやイベントの催されているエリアへも入場できません。何と言ってもレーストラックから離れていてレーストラック発表前であっても、バーティカルターンをする機体の腹しか見えそうにないことが予想されます。

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残るはスタート・ゴールエリア、カメラマンエリア、デラックスシートエリア、一般エリアとなります。これまで、2015年は一般エリア(ZOZOマリンスタジアムの前のあたりの最前列を運良く確保)、2016年はスタート・ゴールエリア(入場ゲート付近のスロープで前に邪魔が入らない場所を運良くゲット)と見てきました。それぞれの特徴をフォトグラファー目線を加えてまとめると次のような感じです。

一般エリア

メリット

  • ファミリーエリア、スタート・ゴールエリアに次いで安い
  • 海浜幕張駅からの動線がシンプルで行き帰りがラク
  • イベントエリア、ショップへのアクセスがラクで、サイドアクトやエアレースクイーンコンテストの撮影も可能

デメリット

  • 一番混雑し、子供・家族連れ、カップル、祭り・フェス好きなど客層も豊富で観戦マナーもバラバラで撮影しにくい
  • スタート・ゴールゲートから遠くてシケインやゴールを通過するシーンは撮りにくい

一番たくさん入るエリアなので人口密度は最も高く、大きなレンズを振ることには抵抗があります。他のお客さんにイヤな顔をされるだけならまだしも、酔っ払いにワザと見切られたり、場合によってはトラブルになりかねませんよね。そういうリスクを避けるには、十分早い時間から入場して複数人の仲間でカド地の最前列を確保するのがいいでしょう。仲間内で交代で機材の見張りをしながら、イベントエリアで食事したり、エアレースクイーンの撮影に挑戦するのもできますし。ただし、三脚類の持ち込みはNGですので注意。

スタート・ゴールエリア

メリット

  • 一般エリアよりも安いチケット
  • エリアが長く、場所を移動すればアングルは結構変えられる

デメリット

  • 海浜幕張駅や幕張メッセ駐車場からの動線が最も遠く不便
  • イベントエリアに直結している動線がなく一旦会場から出ないといけない
  • 子供・家族連れ、カップル、祭り・フェス好きなど客層豊富で混雑し、観戦マナーもバラバラで撮影しにくい
  • 名称のわりにスタート・ゴールゲートからは遠かったりする

安さにつられて試したものの、一番デメリットの多いエリアだと思います。ただし、アクセスにバイクを使用したり、折りたたみ式などの携行性のよい自転車で駅/駐車場から移動してみたりすれば動線を気にすることはないですし、イベントエリアは最初から利用せず撮影に集中するつもりだったら問題ないですから、上記のデメリットとうまく折り合いがつけばお買い得なエリアなのは間違いありません。

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アマチュアカメラマンが配慮すべきマナーの話と観戦エリア

いずれのエリアにしても、撮影するための最大のネックは一般の観戦客と狭いスペースを共有しなければならないことです。「一般の」といっても、私たちアマチュアフォトグラファーも同じ値段でチケットを買っている以上イーブンな立場であり、お互いの観戦の邪魔になったり、不快な思いをさせないように最低限のマナーを守るべきなのは当然でしょう。ですが、そのマナーの基準はあくまでカメラを持たない観客に合わせるべきで、例えば望遠レンズの画角に見切れないように配慮するなんていうことをカメラを持っていない方に期待するのは無理があります。

例えば、あるカメラマンが撮影しようとしたときに前の観客の頭が見切れてしまって舌打ちをしたら、それが前の観客の耳に入って言い争いになる、などのトラブルはどんなイベントでも聞く話ですが、カメラがそのイベントの観戦/観劇に絶対必要なモノでない以上、それを持っていない観客の感情に配慮すべきで、不快な思いをさせたカメラマン側の落ち度であることは明らかです。また、こういったトラブルがアマチュアカメラマン全体の評判を悪くしていることは、例えば「撮り鉄」の中の一部のマナーの悪い人たちの評判からすれば、他人事としてすませてはいけないことでしょう。

今年はカメラマンエリア

というわけで、写真撮影するなら、同じ目的の人たちが集まるカメラマンエリア、という何のヒネリもない無難な選択を3年目にして行いました(笑)。ただし、本命はあくまで人口密度が一番低いであろうデラックスエリアです。カメラマンエリア¥22,000/2daysと比べるとそれほど差はないのですが、私は日曜日単日しかみれないために、カメラマンエリア¥15,000/1dayから見るとデラックスエリア¥30,000/2daysしか設定がなくキツいです。

さて、今年のレーストラックを確認すると…、

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スタート・ゴールゲートがカメラマンエリアより画面右側の東京側にあり(この時点でスタート・ゴールエリアという名称は本当にアテにならないことがわかります)、シケインが目の前にあるので過去2年とは違った画が撮れそうです。

決勝当日のカメラマンエリアの様子

カメラマンエリア概観

決勝当日は午後12時前に到着し専用のゲートから入りました。過去2年はカメラマンエリア用に蛍光ピンクのビブスを配布、着用させていたのですが、今年はなし。F1のように複数のエリアを行き来することがないので、他のエリア同様にチケットのチェックで十分ですね。

エリア内は他のエリアと違って波打ち際まで入れてそこに三脚を立てた人たちがすでに並んでいます。砂浜の真ん中は誰もいない状態で、これが他のエリアとは完全に異なります。他のエリアと違って砂浜が平坦でここに座っても低い位置が望めないからでしょう。とてもスッキリしていて人口密度の低さがわかります。画面右側は少し高い段になっていて、そちらにも三脚がならんでいます。

エリア最先端の様子

カメラマンエリアの最先端(東京側)。当然ながら全員がカメラを持ってレースを待っています。最前列は入場ゲートオープンの2時間以上前から並んでいたそうです。逆に、カメラマンエリアなら、レース開始1時間前程度の入場でもエリア先端まで余裕で入れます。さすがにここでは人が見切れてしまうので数メートル下がった場所で撮影しました。レース撮影でおなじみのアルミ脚立を持ち込んでいる人がいますが、荷物チェックに引っ掛からなかったんでしょうか?

上はエリア先端で陸側を見た写真です。砂浜を登った上にレースコントロールがあり、レーストラック全体を目視できるほぼ中央のポジションであることがわかります。左奥の白い屋根がクラブラウンジ。カメラマンエリアは先端で場所取りができればとてもよいポジションであるといえますね。

ただし、この先端からクラブラウンジや一般エリアに抜ける通路やショップ、トイレはありません。スタート・ゴールエリア方面まで戻らないといけないので、最前列に陣取るには複数の仲間と朝早くから並んだ上に、交代で適宜休憩に出る「チーム体制」が必要だと思います。

そして、海上のエアゲートを見て気づいた方もいるかもしれませんが、この時点で、レーストラックが発表されているイラストよりも100〜200メートルほど東京方面にずれて設置されているのがわかりました。陸上のエリア設営の関係なのか、海底のゲート設営の関係なのかはわかりませんが、結構ずれています。スタート・ゴールエリアだとかなり離れて見ることになったのではと思われます。

決勝開始後からエリア内の様子に変化が

決勝スタート後、Round of 14の後のサイドアクトの時間帯に、エリア先端付近からスタート・ゴールエリアの方面に向かって撮影した様子です。画面左奥の群衆がスタート・ゴールエリアですが、その眼前にはエアゲートがないことがわかります。

カメラを携えた観客のほとんどは決勝開始前までには撮影ポジションを固めてカメラの準備を終えているような状態でしたが、その後、カメラを持たない観客が空いている場所にレジャーシートを広げて食事しだしたり、カップルが座り込んで話たり、スマホやタブレットで撮影したりする姿が増えてきました。カメラマンエリアの人口密度が低いことや単日のチケット代が安めだったりしたのが影響したのか、一般の観客がチケットを買って入るようになったようです。その中には酔っ払いらしき人もいて、大砲レンズの前でピースサインをするなどチャチャを入れてる人もいたのは残念。この人たちにはフォトグラファー水準のマナーを求めてもいいですよね?カメラマンエリアなんだし。

カメラ専用エリアの様子

2016年のカメラマンエリアの様子(場内大型スクリーン)

昨年まであった蛍光ピンクのビブスはやっぱりあった方がいいのかもしれませんね。アレ着けてウロウロするの結構恥ずかしいと思うのですが、その点で撮影目的以外の客が利用しにくくなれば、カメラマンエリアとしての付加価値は多少は上がるでしょうし、チケット価格を上げやすくなるのではと思うのですが…。

陸ではなく海からという選択肢もあり

というわけで、今年はカメラマンエリアで撮影したわけですが、あくまで陸から狙えるオフィシャルなチケットを購入して撮影できるポイントであって、陸から南西の空に向かって撮影する以上、逆光は避けられません。

これに対しては海上から陸に向かって撮るのがいいわけで、当日、レーストラックの海域に船を出すことになります。そもそも、航空機撮影を趣味にしているアマチュアフォトグラファーの間では羽田空港を離発着する旅客機を撮影するために東京湾を遊覧する屋形船などをチャーターする文化があります。

千葉開催が発表された直後から、写真系SNSやブログだったり、Twitter、Instagramの航空機撮影のクラスター界隈をチェックすれば仲間内で船をチャーターする話が出ていますし、オークションサイトなどにも乗船権を出していることもあります。これらの船はいわゆる遊覧船だったり屋形船だったり、漁船だったりするので、そういった業者やお店に直接連絡する手もあります。海釣りをする人はツテがあるのではないでしょうか。

来年のエアレースはどうなるの?

今回はエアレースの撮影のヒントとして観戦エリアの話を中心に紹介しました。

一説には千葉での開催は2015年から3年契約で今年がその最後ともいわれ、来年以降は白紙という噂もあります。この3年間には室屋選手の活躍もあり日本でのエアレースの認知度は上がったと思われますが、一方で近隣住民の評判はあまり芳しくないとの話も聞きます。やはり騒音問題や大勢の観客が交通や商業施設に及ぼす影響が大きいのでしょう。

そういった点では、比較的理解のあるサーキットを利用するのが1番いいんでしょうけど、来年はもてぎとか富士スピードウェイとかどうでしょうかね。もてぎはアクロバット飛行の開催実績もあるし室屋選手も飛んでますよね。

来年も幕張で開催されるなら、デラックスシートエリアで2日間じっくり撮りたいなあと思っています。

そんなわけでカメラマンエリアから撮影したエアレースの様子はコチラ

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